・原発の運転再開に高いハードルを

福島第一原発の事故が深刻度を増す中、官民挙げた原発の運転再開の動きが静かに広がっています。

逆風下 原発再開急ぐ国 地元反発 悩む電力各社 =2011年3月30日 東京新聞朝刊=

事故が発生している福島原発でも、廃炉となるのは1〜4号機にとどまる可能性があるなど、原子力関係者の懸命の延命活動には開いた口がふさがりません。


プルトニウムの飛散が確実視される事故現場は、相当に危機的な状況に陥っているはずです。

炉心を冷却するための注水が生命線になっていますが、副作用としてタービン建屋や配管トレンチに大量の汚染水が排出されます。

通常なら絶対に許されないはずの高濃度汚染水の漏洩を続けざるを得ないほど、事態は最悪の状況に陥っているんです。


私は、原子力放射線については素人です。

これまでは、素人として漠然とした危機意識を抱いてきましたが、事故対応が『水の移動』に重点を移したことで、身の震えが度を増してきました。

水プラントの設計に従事した頃の昔取った杵柄が、機敏に事態の重要性を把握させてしまいます。


事態の収束は、原子力発電の専門家集団の手には負えなくなってきています。

事故に関するすべての要素の英知を総動員する非常事態体制が不可欠です。

それも全世界から。


炉心冷却のために注水を続け、漏洩した水をタンクに貯めるという現在の応急処置は近く破綻します。

誰が考えても分かることですが、外部からきれいな水を持ち込んで原子炉に入れると高濃度の放射線に汚染されて出てくる。

無尽蔵に水を貯めることは不可能だから、どこかの時点で高濃度汚染水の再利用で冷却することも必要になる。


高度にシステム化された原子力プラントのエンジニアの範疇ではなく、多様なニーズに応える民間事業者の豊かな発想力と広範な情報力が必要になります。

東京電力を一時国有化するという話も出てきましたが、事態収束に向けての緊急対応においてこそ、国有化した危機管理下におくべきだと思います。

現在、現場に参加しているプラント屋は大手ゼネコンの大成建設だけにとどまっているようですが、危機管理プロジェクトには一企業の限られた人材だけでは力不足です。


事故対応の状況を報道に頼るしかない一市民では、計り知れないほどに事故対応は一生懸命にされていることと願いますが、政治家が万能であるはずもなく、官僚が臨機応変に行動できるはずもありません。

できない人たちにやれといって無理を強いるのではなく、できる人に任せる体制つくりが政治家や官僚に求められています。

適材適所、分相応。

危機対応のときにこそ冷静に人や物を動かすことができるリーダーが求められているのですから、原発事故対応には総理大臣ではない危機管理に適した人材を抜擢して、菅総理は国全体を見渡す高みにいてもらいたいと思います。

本日の発電量 67.2kwh

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