・東京電力と一心同体の原子力専門家

アクセルとブレーキが同居しているのが、日本の原子力行政です。

経済産業省には、原子力安全・保安院資源エネルギー庁があって、前者が安全規制を主な業務とし、後者が原発を推進する業務にあります。

海江田経済産業大臣は、危機的状況に陥っても原発を推進しなければならない立場にあるわけで、初動や厳しい判断で迷いが生じるのは避けられなかったと思われます。


ところで、原子力を規制する立場にあるはずの原子力安全・保安院も、ブレーキ役として機能していたかというと疑問があります。

東京電力では歴代経産幹部の天下りを受け入れており、顕著な例では11年1月には原子力安全・保安院の上部組織である経産省資源エネルギー庁の前長官だった石田徹氏が、退官後わずか4か月で顧問に天下っている。

天下りの見返りとして政府は厳しい監督をせず、安全基準も今となっては甘かったこということだろう。


規制する側の原子力安全保安院に専門知識が欠けているとしたらさらに問題は深刻です。

原子力安全・保安院の現院長である寺坂信昭氏は、同院入りの前職が経産省商務流通審議官であり、三越伊勢丹などの百貨店担当をしていた文系事務官です。

原子力関係の専門知識が豊富とは思えないし、テレビに度々登場する報道官も通商関係が比較的長い文系事務官だというのだから任せて安心とはなりません。


さらに、テレビで原発事故は収束の方向に向かっていると事故当初から実態を無視したコメントを連発してきた専門家諸氏の不可解な言動の理由が分かってきました。

例えば、東京大学原子力学問には、東京電力から5億円もの多額の寄付が渡されています。

これは、東大の全86寄付講座の中でも、単独企業としてあまりに突出した金額です。


東京大学だけにとどまらず、東工大慶応義塾大学など、全国のあちこちの大学の大学院に、東京電力は多額の寄付を続けています。

このことは2002年に東京電力が、自分の管区とはほど遠い長崎大学に手を伸ばしたことから明らかになりました。

長崎大学医学部は、戦前の官立六医大の一つという伝統をもち、その大学院医学研究科を2002年4月から医歯薬学総合研究科へと発展させることになったのですが、ここに突然、東京電力が、9000万円で講座を寄付したいと言い出し、テーマは、原発推進の表現が色濃い低線量放射線の人体影響であったという。

これを当時の学長、池田高良(まさに被曝腫瘍が専門)氏は、趣意書の書き直しのみで、カネの受け入れを強行しようとしたとされています。


おりしも、東京電力は、福島第一原発三号機で、炉心隔壁のひび割れの事実を伏せたまま、97年にむりに交換し、二千人近い作業員にかなりの被曝をさせ、その後もこの事実を隠蔽し続けていたことが、ようやく発覚しました。

なぜ東電が被曝後遺症を扱う池田学長に唐突に大金の話を申し出たのか、因果関係が疑われても仕方がない状況ですね。

これに対して学内外から猛烈な反対論が沸き起こり、夏には混乱の学長選となった結果、代わって斎藤寛氏(公害問題が専門)が学長に当選。

長崎大学は、9月に臨時教授会を開き、東京電力の寄付講座受け入れを取りやめ、すでに大学側に振り込まれていたカネ全額を東京電力に突き返したということです。


原発事故に関する情報公開の透明性と迅速性に対する要求が高まっていますが、テレビに登場する原子力の専門家たちの東京電力との金銭関係も重要な情報公開の対象にしてもらいたいですね。

東電からお金をもらっていない原子力に批判的な立場の専門家と並べてコメントさせたらいいんじゃないでしょうか。

東京電力と距離を置く専門家 武田邦彦 (中部大学)

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本日の発電量 53.1kwh

月間の発電量が1600kwhを超えました。隣組の全戸の電気使用量に匹敵するので、かなり貢献できたと思います。