・避難所では母乳を与えましょう

東日本を襲った大震災と大津波で被災して、避難所での生活が長期化している乳児が少なくないと思います。

避難所ではインフルエンザなど感染症の流行が懸念されているので、特に乳児や高齢者らは感染が深刻な症状を招きかねません。

予防のために乳児には母乳を与えることが薦められています。


「日本母乳の会」の役員で小児科医の堀内勁(たけし)氏は、母親の血液からできる母乳にはリンパ球などの白血球が多く殺菌力があり、感染症予防に役立つ−として母乳を奨励しています。

乳首から直接吸わせることで安心感を与えるだけではなく、母親にもオキシトシンというホルモンが分泌され、心の安定につながるという効果も期待されます。

乳児だけでなく、震災のショックで“赤ちゃん返り”した幼児についても、「4歳くらいまでなら、母乳がでない場合でもおっぱいを吸わせてほしい。震災直後の今、少しでも不安を解消することが後の心の安定につながる」という。

被災地では母乳が出にくくなった母親も増えており、同会は「根気よく吸わせ続ければ必ず回復する。母乳を出すためにも周囲の人は母親に優先的に食事を回してほしい」と訴えています。


一方、粉ミルクで授乳している乳児には、使い捨ての紙コップの利用が奨励されています。

避難所では、消毒が必要な哺乳瓶の衛生管理が難しく、災害時は使い捨ての紙コップを利用するのが一番安全だからです。

紙コップを使った授乳方法の注意点は、
(1)赤ちゃんの手が紙コップにぶつからないようにタオルで赤ちゃんを包む
(2)赤ちゃんを縦抱きにする
(3)紙コップ内に少なくとも半分以上の乳汁を入れる
(4)赤ちゃんの口元で紙コップを少し傾け、2、3滴を目安に流し込む

さらに、3割以上はこぼれるので、多めの乳汁を用意する。コップを下唇に軽くのせ、上唇が乳汁に触れるようにするのがいい−ということです。


また、避難所で水道水が手に入らず、ペットボトルのミネラルウオーターを使う場合は注意が必要です。

カルシウムやマグネシウムといったミネラル成分は赤ちゃんの腎臓に負担をかけてしまうからです。

50〜60程度の硬度の低いものが最適ですが、硬度100程度のものでも、10分ほどぐらぐら沸騰させればミネラル分が低下するので調乳に使えるようですから、乳幼児と一緒に避難されている方は十分にご配慮ねがいます。