・政治家は選挙に強いが危機管理は素人

福島県産のシイタケから規制値を超える放射性物質が検出されました。

放射性ヨウ素が1キログラム当たり3100ベクレル(暫定規制値は同2000ベクレル)、セシウムが同890ベクレル(同500ベクレル)でした。

キノコ類で規制値を上回ったのは初めてですが、キノコは国の出荷規制の対象になっていないので、県から出荷自粛を求められた農家のもの以外が市場で流通しています。


厚生労働省によると、キノコ類はセシウムを吸収しやすいとされるが、放射性ヨウ素も検出されており、露地栽培で付着したのではとみているという。

すでに摂取制限を経ている野菜で明らかになっていますが、ハウス栽培だからといって放射線の被害を避けることはできないようです。

ハウス内を換気する際に、放射性物質が浮遊する空気をハウスに取り込んでしまうからです。


福島第一原発の20kmから30kmでは屋内退避とされていますが、ハウス栽培と同様に開口部を目張りした密閉性の高い構造物に隔離されている場合を除いて、家の中にいることが放射能の危険から身を守ることには必ずしもなっていないようです。

最近の住宅なら強制的に24時間換気されているし、キッチンで換気扇を回せば大量の外気が流入します。

一般的な住宅では、何もしなくても一時間に住宅の容積の半分に当たる空気が入れ替わっているとみなされます。

屋内退避は、気休めの応急対策の位置付けてあるとの指摘が専門家から出ているのもなるほどです。


退避処置と安全性が機能していない実態を放置してきた政府がやっと改善に向けて「検討」を始めるようです。

枝野幸男官房長官は3日の記者会見で、福島第一原発の事故で避難や屋内退避を求める地域について、周辺の放射線量などの分析結果によっては見直す可能性を示しました。

避難や屋内退避について「一定の長期化は避けられない」と述べた上で「大気中や土壌の放射線量などのデータが積み重なっており、これを踏まえてさらに精緻(せいち)な対応ができるよう準備を進めている」と語っています。


福島第一原発からの距離と放射能汚染のリスクは、必ずしも比例していないことは、先ごろようやく公開されたSPEEDI(スピーディ)」と呼ばれる予測システムの解析結果を見れば明らかです。

風向きで被害地域が変わり、雨が降るタイミングで放射線濃度に違いが生じる。

予測が難しいのは納得できますが、平均的な気象状況から『より危険な地域』は絞り込めるはずです。


行政の使命は人民の安全確保なので、危険な地域から優先的に退避させることをもっと早くやっておくべきでした。

非科学的な同心円で避難地域を区分し続けたために、危険な地域を『安全』と偽らなければならず、危険性が比較的低い地域に『危険』というレッテルを貼ってしまった。

民主党の政治主導がもたらした人災です。


政治家の最も得意とするところは選挙であって、国民の安全管理ではありません。

危機管理の素人に過ぎない政治家が陣頭指揮を執れば、被害の拡大を未然に防ぐことができないのは容易に理解できます。

政府が責任感を持って国難に挑もうとする意欲は評価しますが、政治家の能力の及ぶところではないので、危機管理に精通した官僚や民間の助力を得て、素人にも分かりやすく状況分析と対応策の選択肢が示された段階で「政治決断」することに専念するべきだと思います。


折りしも、今は選挙の真っ最中です。

優れた政治家を選ぶことが求められているんですが、実態は選挙に強い候補者が議員になります。

政治家の本分は選挙にあると常々力説している小沢一郎の言葉は、真実なんです。

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