・節電で命を削る前に建物の断熱性能を見直せ

電力不足「猛暑のまち」直撃 群馬・館林市

 福島第1原発事故による今夏の電力不足問題で「猛暑のまち」として知られる館林市がピンチを迎えている。市は当初、夏までに公立小中学校や幼稚園にエアコンを完備して猛暑対策に万全を期す構えだったが、節電のため使用が制限される可能性が出ているためだ。市は「節電よりも熱中症などの人命対策を優先せざるを得ない」としている。

 今月14日、館林市は公共施設など市内100カ所以上に対し、「今夏における暑さ対策と省エネ活動のアイデア募集」と題するメールを一斉送信した。

 計画停電が再開された場合を想定し、節電しながら猛暑を乗り切るための独自のアイデアを募集するもので、市地球環境課は「電力不足の現状があり、全市一丸となって暑さ対策に取り組む必要性がある」と強調する。

 同市では、平成19年8月に観測史上最高気温となる40・3度を記録。昨年夏には最高気温35度以上の猛暑日は41回あり、日本で最も多かった。このため、市内では窓辺を植物で覆って室内を涼しく保つ「みどりのカーテン」といった猛暑対策に取り組んできた。

 また、今夏は東武伊勢崎線館林駅前広場に設置されている「クールクールゾーン」のミスト発生装置のノズルを増設するほか、市内のコンビニ店などと提携し、熱中症などを訴える人を保護する「かけこみ協力店」を設置する。

 だが、こうした対策に影を落とすのが、電力不足による節電だ。市教委は6月末までに幼稚園5園、小中学校16校にエアコンを完備するが、「計画停電になればエアコンの設定温度を調節するなどの対応を迫られる」と不安を隠さない。

 ミスト発生装置の稼働についても使用が制限される可能性があるが、市は「人命を優先して操作する」として、節電に協力できない可能性も示唆している。

 前橋地方気象台では、今夏は近年の高温傾向から平年より気温が高いと予測。市は「夏休みに部屋でクーラーをつけたままテレビを見る生活から、外の涼しい場所に移動して読書を楽しむといった市民の意識改革も必要となる」と節電への協力を呼びかけている。 =産経新聞 4月27日=

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人命や健康を害してまで節電する必要は無いでしょう。

電力が必要なのは日中の気温が高い時間帯なのだから、太陽光発電が機能を発揮する時間帯と重複しています。

学校の屋上に太陽光モジュールを目一杯載せて、それでも足りないとなれば照明を制限するなどして、節電に励むのが順番としてはいいように思う。


コスト意識が高い企業は別にして、公共施設や一般家庭ではエネルギーが有効に使われていない場合が多いと思われます。

節電や省エネの意識はあっても、気が付いたものから実行する程度のことで、どこにどう手を付けたら効果的にエネルギーが使えるかといった考察がなされていません。


紹介した記事でも重要な調査検討が抜け落ちています。

なぜ教室が暑いのか?

外が暑いからなのか、日差しが強いからなのか。


外気温の影響を受けているなら断熱性能を高めるべきだし、日差しが差し込んで暑いなら日光を遮蔽し、遮光ガラスに交換するという選択肢がある。

暑ければエアコンを取り付けるという短絡的な発想が電力需要を増大させる要因になっていると考えた方がいい。

公共施設でもこの程度だから、一般家庭になればなぜ暑いかという基本を押さえているお宅はごく少数だろう。


先月、近くに新築住宅で見学会があったから出かけてみた。

建築した大工さんに「Q値はいくつ?」と尋ねたら、「計算してません・・・。」

後日、入居された方がぼやいてました・・・「新築なのに寒いんです」


日差しを取り込んで部屋を暖かくするとの思い込みで、吹き抜けに大きな窓を付けたものだから、断熱性が著しく低下するとともに放射冷却で部屋の熱が空に逃げていってしまう。

大工さんは家を建てるプロですが、家の環境性能については素人同然です。

新築物件なのに環境性能が低い住宅が今でもたくさん建てられている。

電力不足で節電を考えるのも大事だが、建物そのもののエネルギー効率を見直さないと、『労多くして功少なし』に陥ってしまう。