・超ローコスト高断熱窓を自作しよう 初心者入門編

窓からの寒気や結露で悩むお宅は少なくないでしょう。
ガラスを交換したり、高価な内窓を取り付ければ少しは改善しますが、費用の割にはがっかりな結果に終わることもあります。
そこで、手軽で安価、効果も抜群の手づくり窓をご紹介します。
うちの実例を元に断熱性を数値評価していきますので、参考にしてください。
初級編、中級編、上級編とグレードアップしていく予定。

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まずは、現在市販されている一般的な窓では最高ランクの断熱性を有するとされるLow-E複層ガラス+樹脂複合サッシ。
単独の熱貫流率(※1)は2.33(W/m2・K)
次世代省エネ基準でⅡ地域に指定された寒さの厳しい信州でも標準的に使われている断熱窓ですが、はっきり言って力不足です。
寒いし、結露します。

最も簡単な断熱性アップはカーテンの設置です。
厚手のカーテンを部屋の内側に取り付けると断熱性が16%向上します。 (※2)
難点は、断熱性が向上してもカーテンの生地が湿気を透過させるので、結露が止まるどころか悪化してしまう。
多くの家庭で陥っているジレンマの一つがこれでしょう。

※1 熱貫流率:熱を通す割合。数字が小さいほど良い。詳しくは検索して勉強してください。
※2 サッシの熱貫流率2.33(W/m2・K)の逆数が熱抵抗値0.43(m2・K/W)。これにカーテンの熱抵抗値0.08(m2・K/W)を加えた0.51(m2・K/W)の逆数1.96(W/m2・K)がLow-Eサッシ&カーテンの熱貫流率。

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では、どう対処するか。
この窓は縁側にあるので、室内側には障子が取り付けられています。
寒いときには障子を閉めることを前提にすると結露が緩和されます。
もちろん断熱性も38%向上します。 (※3)
幸いなことに雪見障子となっているので、障子の下半分がガラスによって防湿性能が上がっているから結露が防げる。
ファンヒーターなどの燃料を燃やした排気ガスを室内に出すタイプの暖房器具だと、空気に含まれる水分が多いから問題があるかもしれない。

※3 サッシ&カーテンの熱貫流率1.96(W/m2・K)の逆数が熱抵抗値0.51(m2・K/W)。これに障子の熱抵抗値0.18(m2・K/W)を加えた0.69(m2・K/W)の逆数1.45(W/m2・K)がLow-Eサッシ&カーテン&障子の熱貫流率。

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障子の断熱で重要なのが隙間です。
正面から障子を見ていると気が付かないが、断面で見ることが大切です。
前後の障子の重なりには大きな隙間が生じて、ここから空気が漏れています。

防ぐには『網戸用すき間モヘアシール』がお勧めというか、これ以外にない。
障子の動きを制約せずに気密性を保つ優れものです。

さらに、障子と柱、障子の突合せに隙間が生じているはず。
建具の下面を削って調整して隙間を無くすと共に、障子の枠に太い毛糸を両面テープで貼り付けます。
間違っても市販の厚い『すきまテープ』を貼ってはダメです。
反発力が強すぎて動きの良い障子だとしっかりと閉まらなくなってしまうし、見た目も悪い。

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以上で、三層ガラス窓に匹敵する、極寒の地、北海道でも通用する高断熱開口部の出来上がり。
あるものをうまく利用すると断熱性は飛躍的に向上します。

でも、これは、うちでは序の口です。
物足りないと感じたり、「我が家の窓には障子がない」とか、「ペアガラスじゃないから参考にならない」と嘆く方は、初級編へどうぞ。
(準備中)