・伊那谷のエネルギーと安全


25日に、伊那市役所で、シンポジウム「自然エネルギーと私たちの未来 伊那谷の環境にふさわしい新エネルギー像を探る」が開かれました。


建設反対の立場の環境団体を中心に構成した同実行委員会が初めて企画したものです。
基調講演とパネル討論会の2部構成で、地元での風車の建設計画を反対の立場で検証しました。


・長野日報へのリンク 『伊那谷に合う新エネルギーは 伊那でシンポジウム 』


パネリストの構成は、反対派から二名、中立の行政の立場から一名の、計三名でした。
賛成の立場が欠けていますので、公平な論議がされたわけではありません。
その点が少し残念でした。


伊那谷のエネルギーを考える時に、忘れてならないのが安全性です。
危険を及ぼす恐れのあるエネルギー施設の存在を念頭において論議する必要があります。
その代表が、浜岡原発です。


ここで原発事故が発生して、10メートルの風に乗れば、1時間ちょっとで放射能に汚染されます。
浜岡原発では、小さな事故やミスが頻発していますので、大事故の発生する可能性がまったくないわけではありません。


人が人工的にエネルギーを作り出して使う限りは、それに伴うリスクを負わなければなりません。
現時点の伊那谷のエネルギーは、リスクを他の地域に負わせたままで、恩恵だけを受けた状態です。


しかし、これからの地球温暖化防止の世の中の流れからして、エネルギーの自給自足の必要性がさらに高まると考えられます。
すなわち、多くのエネルギーを消費したければ、ハイリスクでハイリターンなエネルギー環境を自分の地域で選択するすることを意味します。


昨日の、「伊那谷の環境にふさわしい新エネルギー像を探る」では、この点が疎かにされています。
その意味では、非常に無責任な反対シンポジウムです。


伊那谷のエネルギーにおける、危険と恩恵を多面的に考える機会の必要性を痛感させます。
自分たちの領域の利益に束縛されている、山岳会や野鳥の会が先頭に立つのではなく、エネルギーの受益者としての立場に立って視野を広く取ることが求められます。


入笠山一帯に風力発電用風車の建設は、計画を進めるのための予備調査が実施されている段階だと思います。
地域の自然エネルギーの現状を知ることは大変に有意義です。
今は、反対や賛成に声を上げる時期に達していません。


計画の全容が明らかにされた段階で、シンポジウムを開催するべきでしょう。
しかし、とにかく反対の機運が高まる伊那市では、公平な論議は難しいと思うので、エネルギー問題への取り組みが進んでいる飯田市あたりで、伊那谷市民の目線で考える場が与えられれば良いなと思っています。