・観光地の弊害


駒ヶ根市が「観光地域づくり実践プラン」の対象地域として選定されたそうです。
その目的とは、

観光立国の実現に向け、地域に住む人々がその地に住むことに誇りをもち、幸せを
感じるとともに、外国人観光客にとっても魅力あふれる「一地域一観光」の推進が求
められている。
 このような中で地域特性を踏まえた観光戦略に基づき多様な地域資源を活用し
地域の幅広い関係者が一体となって、観光を軸とした地域づくり(観光地域づくり)
を一層推進していく必要がある。

としています。
駒ヶ根市は、観光都市として売り出すことを前提にしていることになります。


確かに、駒ヶ根市の最近の予算の使い方は、駒ヶ根高原を核とした観光産業への投資が目立ちます。
特に、温泉への無謀ともいえるギャンブルは市民の心配の種です。
しかし、市長はそこまでして、駒ヶ根市を観光都市に仕立て上げたいとの強い意気込みがあるのでしょう。


ところが、一方では企業誘致にも精力的です。
田舎の自治体が、企業を呼んで金を落としてもらおうとすることは良くあります。
企業団地を作って工業都市として売り出すのも良いでしょう。
ただし、環境の悪化を招きますが。


自然環境が売り物の観光都市と、最先端の企業が売り物の工業都市
両立させるつもりなのでしょうか。
観光客の目線からすると、二つのアルプスに挟まれて工業団地が展開する風景に感動するだろうか。
進出する企業からすれば、自然環境保護への過大な負担を強いられることを恐れないだろうか。


一般常識からすれば、駒ヶ根市がやろうとしていることは矛盾に満ちています。
また、市民の同意を得て実行されているとも思えません。


駒ヶ根市が本当の意味での観光都市になったときのことを想像できる市民がどれだけいるか。
国交省のプランを引用すれば、「観光地域づくり」とは、

  • 外国人観光客の増加
  • 地域内の交通環境

に重点を置いています。


たくさんの外国人観光客が来るようになれば、それに付随して悪質な外国人犯罪者の発生の危険性も受け入れる必要があります。
公共交通機関が貧弱な駒ヶ根市では、外部からの移動に車が多用されます。
すなわち、交通渋滞が激しくなります。


観光地として名をはせている地域に、ピークのシーズンに行けば実感できます。
渋滞で数十キロも車が連なり、抜け道を求めて生活道路にまで県外ナンバーの車が猛スピードで通り抜ける。
近くのスーパーに買い物に出かけようと思っても、観光客による渋滞で車では出かけられない。


これまで、駒ヶ根市民が想像したことのないような不便と危険が伴います。
極端なことを言っていると思われるかもしれませんが、観光地とはこのような宿命を受け入れてこそ成り立つのです。
理解できない人たちは、経験が不足しているだけのことです。


駒ヶ根市長は、これまでの施策から推察しても、そこまで熟慮してことを進めているとは思えません。
箱物予算が底をついてきたので、金の使い道を、自分のサイドビジネスへの利益誘導に直結する観光施策に方向転換してきたというのが実態だと思えます。
目先の利益に捉われず、地域の将来、地域住民の将来を考えて慎重に事業化することが求められます。


地域の将来は、市民が自分たちのこととして考える必要が、大変に重要になっています。
市長の思惑に乗ってしまって、将来子ども達がひどい目に会うことがないように、しっかりと監視していきましょう。