・市民団体の中身

村井、田中両候補ともに、市民団体の支援を受けて立候補したとされています。
しかし、「市民団体」がかならずしも『庶民団体』となっていないようです。


読売新聞の分析が分かりやすい。
・読売新聞 『民意はどこに 8・6知事選 両陣営に課題』

村井氏にとって、今回は初めて市民団体と連携する選挙だ。
その団体は「新長野県政連絡協議会」。
過去2回の知事選で田中氏を支援したメンバーもいるが、他の団体や政党に先駆けて村井氏に出馬要請した団体だ。
だが、実際は、政党や国会議員の支持母体となる業界団体や労組関係者を動員した集会が繰り返され、市民団体との接点はごくわずか。

後援会「しなやかな信州をはぐくむ会」は、文字通り“しなやか”な連携が旗印で「普段から動いている組織ではない」。
一般的な政治家の後援会とは異なり、日常的に会合を開いたり、会員同士が連携を深めたりする機会はほぼ皆無だが、選挙時には勝手連が速やかに集結するのが強みとされてきた。
しかし、その勝手連にも異変が生じている。
当初から選挙を支える人の中には「田中選挙を熟知し、活動の核となった人たちが随分離れてしまった」と、態勢を不安視する声もある。


村井陣営は、政治屋と業界団体、労組の動員が主なので、「一般庶民」が主力になっていない。
市民団体との連携を飾りつけとして身にまとうのに苦慮している様子が窺える。


勝手連が中心の田中陣営も、以前の選挙のような『倒すべき大きな敵』がいない今回は、盛り上がりに欠ける。
庶民の一派であるはずの連合が村井候補を支援することになったことも、活動の核となる人手不足の一員となっています。


駒ヶ根の最近の知事選は、[自民系保守] vs [共産&勝手に動く市民] の構図でした。
村井陣営には大きな変化はなく、中原市長を中心に借金を重ねて建設業と旅館業に重点投資することで旨みが得られる団体が結束しています。


ところが、田中候補を推す団体は、これまでの選挙とは違ってきました。
信濃毎日新聞の「焦点 8.6知事選」によると、

民主党社会党、県連幹部間でも村井氏と田中氏に支持が割れる。
民主党県連副代表の加藤学・5区総支部代表は、「国政で争っている自民党手動の候補は推せない」と田中氏を支持。

長野日報の調査によると政党の支持率は、
自民党18.4%、民主党13.3%、公明党3.2%、共産党1.7%、社民党0.7%、国民新党0.3%、新党日本0.5%、支持政党なしは60.1%。


候補者別に基礎票を単純に計算すると、3倍近い開きがある。
村井支持=自民党18.4%+民主党(13.3%+社民党0.7%)/2+公明党3.2%=28.6%
田中支持=民主党(13.3%+社民党0.7%)/2+共産党1.7%+社民党0.7%+国民新党0.3%+新党日本0.5%、=10.2%。


しかし、民主党社民党支持の多くは、自民党が担ぎ上げた村井氏とは距離を置くと考えられるし、
支持なしが60%もの巨大勢力であることを考えると、票の行方は混沌としている。


組織から脱却することに活路を見出そうとすれば自己矛盾に陥る村井候補と、
市民が勝手に動くあまりに、全容が把握できない田中候補。
これから中盤にかけての候補者の具体的な訴えが、選挙の行方を左右しそうです。