・脱ダムから緑のダムへ

シンポジウム 「脱ダムから緑のダムへ」が、飯田市で開催されました。
会場の飯田勤労者福祉センターは、用意された席がすべて埋まるほどの盛況でした。


そこで語られた緑のダムの必要性に、会場のすべての人が納得できた様子です。
諏訪湖に流れ込む流域から、天竜川が運ぶ土砂と遠州灘の海岸侵食まで、
山・川・海が一体で一つの自然を形成していることを再認識させられました。


小さな砂防ダムから巨大なダムまで、多くのダムが土砂の流出を阻止している影響で、
遠州灘の海岸線は砂浜が数百メートル削り取られて狭くなっていることに、上流の私達が鈍感ではいけません。
土砂は災害をもたらすためにあるのではなく、流れ下ることによって下流域の土壌を形成しているのです。


「コンクリートのダムがあれば災害が防げる」と信じ込まされた人でも、
緑のダムが果たす多様な生態系への効果を聞けば、目からうろこが落ちるように真実に気がついたと思います。


定量を蓄えたら、ダムの安全のために下流の安全を犠牲にしてでも放流するダム。
流域の生態系を破壊し、建設に伴い周囲の山の自然環境も悪化させます。
土砂を堰き止めてやがて機能しなくなり、多額の費用をかけて浚渫(しゅんせつ)して延命させなければならない。


もちろん作るときには、緑のダムとは桁違いの巨費が投じられます。
万策尽きてコンクリートダムでなければならない、他の手段ではどうにもならない場合の究極の選択肢と考えてよいのではないでしょうか。


ダムを作る費用と同等を森林整備と河川整備に投じれば、ダムの効果とは比較にならないほどの環境改善効果が得られます。
具体的な数字は割愛しますが、豪雨災害の根本原因といわれている地球温暖化をも緑のダム事業は防止する役目を果たします。
コンクリートのダムは、地球温暖化を促進します。(作るために大量のCO2を伴う)


一部の利益者を除けば、緑のダムによってより多くの県民が、より多くの長野県内の環境が安全で豊かな自然環境によって豊かになれます。
いや、長野県内だけではありません。
下流域の静岡県からも大歓迎されます。


コンクリートダムの実態を知って、これを作ることの愚かさに気がつきましょう。
気がついたなら、コンクリートダムを作るような県政にしてはいけません。
村井、田中両候補の主張には明らかな隔たりがあります。
脱ダムから緑のダムへと進もうとする理念が、選挙で勝つべき候補に求められます。