・新聞記者の技量を見抜く

長野県内で読まれている新聞は、信濃毎日新聞が圧倒的に強いとしても多数の選択肢が用意されています。
今回の選挙の報道を見ると、自社の利益を優先した信濃毎日新聞ほどではないにしろ、大手の新聞各紙は財界のご機嫌を伺いながらの記事が目立ちました。


そんな中でも、毎日新聞の記事には的確なものがあったように思います。
と言いつつ、記者の技量を見抜くためには「しくじった記事」を検証したほうがわかり易い。


・毎日新聞 『田中氏の訴え届かず 「安心」の村井氏選ぶ』

出遅れを取り戻すきっかけは、先月の豪雨災害だった。防災担当相の経験をアピールし、「田中県政は必要な公共事業を削減し、対策を怠った」と批判。じわじわと支持を広げた。

豪雨災害が選挙結果に影響を与えたとの考え方は、裏づけがあるのかと疑問に思う。


そこで、災害に遭われた地域の投票状況を分析してみました。
すると、岡谷、諏訪、茅野、塩尻と軒並み田中氏の得票が上回っています。
上伊那郡部の被災地である辰野、箕輪ともに、田中氏が勝利している。


これでは裏づけの伴わない記事でありまして、なんとなく雰囲気を読んだらこんな記事を書きたくなったのではないかと思います。
担当記者は「藤原章博」さんと表示されていますが、今後の精進を期待します。


南信地域で比較的強いのが中日新聞です。
知事と県議会の対立を、県民の視線で捉えている記事に期待が持てます。
・中日新聞 『<転・県政 知事選を終えて>【中】 県議会の対応』

「県政転換」を大義名分に超党派で反田中を鮮明にして村井氏を支援した県議たち。選挙の結果だけをとらえれば、その訴えは有権者に届いたともいえる。が、有権者はその視点だけで県議会をみてはいない。県民の付託を受けた県政のチェック機関として、村井県政に今後どう向き合っていくか、その真価が問われている。 (知事選取材班)

取材班となっていますので、複数の記者の視点が「文殊の知恵」となって的確な判断を導いているのではと思います。


関連記事を一覧できる秀逸なサイトをご紹介しておきます。
・from 長野 27:00 『長野知事選2006結果ニュース』
気になる記事を見つけたら、突っ込みどころの指摘も添えて教えてください。


村井氏は、自分の頭で考えて発言するタイプではないと思うので、記者のぶら下がり発言では本音を吐露するでしょう。
県民は、その一言を知りたいのですから、聞いたことを事実として記事にする記者の勇気と、紙面に載せる編集者の決断に期待します。