・NHKで村井氏が徹底討論2

NHKで村井氏が論じた要点は、こうです。

国の補助金は、県民が納めた税金だから、もらわないと損をしていることになる。
田中県政はもらえる物をもらわなかったから経済規模が小さくなってしまった。
補助金による公共事業で経済規模が大きくなれば自治体の体力がついて福祉予算が増加する。


中学生レベル、いや賢い小学生でも、この論理が破綻していることは理解できるはず。
(注記:村井氏に投票した県民の知識レベルが小学生並だと断じているわけはない)
同席した金子教授からも論理の破綻を指摘されましたが、そこは国会で鍛えた逃げ口上でうまくかわします。
しかし、かわしただけであって、県民が納得できる話ができないことを画面を通じて知らしめました。


さて、お次は脱ダムです。
長野県はダム無しでは安全が保てない地域なので、必要なものは作らなければならないと力説するのは当然として、勢い余って山のことまで知ったかぶりして言及してしまいました。

山の問題は誤解されている。山林の仕事はまったく機械化されておらず人力に頼るしかない。山に手を入れると言っても枝打ちもできない間伐もできない、これをどうするか、林業にはコストが掛かるので現段階では答えがない。

あまりの無知にあきれてしまう。
当然金子氏にやり込まれます。
林業として考えるから成り立たないのであって、広葉樹を活かし自然環境として山を維持する」
「間伐が要らない方法を取ればある程度コストが合う」
「森林を含めた総合的な治水が必要なことは全国で認知されている」


奥地の急傾斜地は別としても、機械化された山仕事の現状も知らずに、
「山の手入れはできない、緑のダムを造るというのは大変に美しい言葉だがコストが掛かる大変な話だ。」
と、緑のダムを否定して、砂防ダムの優位性を言い続ける姿は、単なる土木屋の仕事を作るための利益誘導型政治家としか見えませんでした。


あわててアナウンサーが割って入り、話を逸らしたのも、あまりに低次元な村井氏の屁理屈を見るに見かねてのことだったと思います。


村井県政では、脱ダムから緑のダムへ向かっていた流れは断ち切られ、砂防ダムから巨大ダムへ勢いづいて行くことが明らかになりました。
しかし、ダムの対象になる住民は知っておかなければならないことがあります。
村井氏が技術的科学的な事実に基づいて議論を進めるとしている、この「事実」に重大な問題点が隠されています。


先日、飯田で開催されたシンポジウム「脱ダムから緑のダムへ」で、専門家が指摘した「都合よく作られた科学的な事実」の存在を知っておかなければなりません。
戦後の山が荒廃した時期に得られた治水データは、現状にまったく適していない。
すなわち過大な事業を伴う間違ったデータが国土交通省の考えの基本となっていることを。


「国からの宿題を解決するには、国土交通省の考えを聞かせてもらう」と村井氏は言っていますが、
村井氏の言う「事実」と、治水における「真実」とは、似て非なるものであることを常に頭において、村井ダム県政に歯止めをかける必要があります。