・打ち水ってどうなんだろう

「長野県一斉打ち水大作戦」っていうのが23日正午、県内約150カ所で行われたようです。
・信濃毎日新聞 『涼を求めて「一斉打ち水大作戦」 県内150カ所で』


この打ち水ですが、どうもしっくり来ないんです。
水を撒いて、気化するときの蒸発潜熱で地温(気温?)を下げるのが目的ですが、
気分的な効果はあるとしても資源効率としてどれだけ有効か、疑問です。


単純に「水を撒けば地球温暖化を防止する効果がある」と勘違いして参加している人もいるのではないかと心配になります。
昨年のことですが、伊那市でかなり頓珍漢な打ち水大作戦を実施したことがあります。
・長野日報 『打ち水で1.5度低下 伊那市役所2000リットル散布 』


川の水を2000リットルもバケツに汲んで、庁舎前のアスファルトに撒いたんですが、
その際の生活環境課のコメントが気になります。

個人でできる地球温暖化防止策として、取り組みが広がれば

どうやら勘違いしてますね。
水洗便所の洗浄水に使った方が、よっぽど地球温暖化防止策として役立つはず。


打ち水の効果が地球温暖化を防止するんじゃなくて、
打ち水でひんやり感を得ることでヒートアイランド現象が著しい都会の実態を感じてもらうこと、
さらに、水の二次利用の重要性を学ぶ機会として重要なんだと思うんです。
打ち水の冷却効果が目的じゃなくて、行為が意識の変革につながることが有意義なはずなんです。


昔から涼を得るために打ち水が行われていますが、冷却のためじゃなくて冷涼感を感じるためですよ。
そよ風程度があることが前提ですが、蒸発潜熱によって奪われた冷却効果によって一時的に温度が下がる。
しかし、風がない、もしくは水の量が不足している場合は、
水蒸気によって局所的に湿度が上がり不快指数も上がってしまう。
だから効果的なのは、日中の炎天下ではなくて、風がそよぐ夕方だったはずです。


でも、本質を理解せずに雰囲気で打ち水が実施されている場合が多いと思います。
打ち水を全国に広げている本家本元でも、おかしなことを言ってます。
・打ち水大作戦 2006
打ち水のやり方の説明が↓。

【商店街、地域、団体での参加の場合】
上記の他、製氷機の期限切れの水、氷、井戸水(飲料水でないもの)、浴場施設(銭湯など)の残り水、
近隣の公共施設、幼稚園、保育園、学校、スポーツ施設などのプールの水など、
水のある公園(池、噴水など)の水、川の水、池の水...


公共施設のプールの水は、大抵の場合が水道水で補充されるはずです。
公園の噴水も...
汲み出した場所が水道の蛇口じゃなければ良い、と考えるのはあまりにも浅はか。
減った分をどうするのかちゃんと考えてもらわないと。


個人がちょこっと拝借する分には大勢に影響はないでしょうが、
全国・世界に発信して各地の団体が一気に水を使っているので、相当な量になっていると思いますよ。
地球環境に良い行為を取り入れるのは良いんですが、やっぱり自分の頭を使ってやらないと、
効果がないばかりか逆効果になる危険性だってあります。


追記。
今朝の新聞報道で、やっぱりやってしまった_事例がありました。
・伊那毎日新聞 『打ち水大作戦』
・長野日報 『涼風が来た「打ち水大作戦2006」 上伊那地域でも 』
保育園の園児たちに間違った「地球温暖化防止策」として教えないで欲しいな。