・サイトウキネンフェスティバル


音楽会と音楽教室の取り違え

7日、サイトウ・キネン・フェスティバルの子どものための音楽会が開催されました。
対象は、長野県内の小学6年生です。
一部で8000人の二部構成ですから16000人ほどが参加したようです。


第1回フェスティバルから開催され、小学校6年生の他に自律学校の児童も対象にして演奏をプレゼントします。
昨年の演奏会の模様は、↓の松本市のサイトでご覧になれます。
http://www.city.matsumoto.nagano.jp/daisuki/hoso/200508/20050830/index.html


ところで、一見したところ非の打ちようがないすばらしい文化事業なのですが、
視点を変えると、やはり問題点があるようです。
聞いて帰って来たばかりの子どもの第一声は、
「つまらなかった...。」


理由は、
「楽器の説明ばかりで、演奏は一曲しかない」
「小澤さんはちょっとしかいないで、説明は違う人」
「ぜんぜん、期待はずれ」
だそうです。


たまたま、今年の出来が悪かったのではないかと思い、中学生にも聞いてみたところ、
「私のときも同じで面白くないんだよ」
そうなのか...。
松本城などの見学もセットになっているようで、予定をこなすのに疲れてしまったようです。


毎年、同じ不満が出ているなら直せばよいのにね_と言ったところ、
「音楽の先生が言ってたけど、直してって言っても変えてくれないんだって。」
子どものいうところですから、作り話ではないと思います。


主催者は子どものために一生懸命にやっているのでしょうが、子どもの要望が反映されていないのは惜しい。
さらに、毎年問題点を指摘している音楽の先生の言葉さえ取り入れてもらいないのは問題です。
音楽のすばらしさを体験してもらうための貴重な機会が、逆効果を与えているなら改善すべきだと思います。


コンサートなどに頻繁に足を運んでいない子どもにとっては、楽器に興味を持たせることもよいのでしょうが、
演奏を求めている子どもに、楽器を説明しても満足しませんよ。
音楽会の聴衆に対して、主催者は音楽教室を開いてしまったようなものです。
サッカーの試合を見に行って、ルールと用具解説では不満が溜まりますからね。
そういうのはサッカー教室でやってもらいたい。


小澤さんが病み上りだったことを子供たちは知らないようで、その点は先生の補足が必要だったと思います。
ミスマッチを解決するためにプログラムの変更を検討していただけるとありがたいのですが、
偉大な音楽家が率いるフェスティバルですから、ちょっとくらいのことは問題にされないのかもしれません。
ましてや、小澤さんの耳に直接入ることはないのでしょう。
音楽会の趣旨が演奏なのか、教室なのか、あらかじめ子どもたちに正しく伝える必要を感じます。


壮大なイベントであるにしても、偉大な音楽家の存在に臆するとしても、
伝えるべきことは勇気をもって言う価値があると思います。
子どものための音楽会なのですから、子供たちに、よりすばらしい思い出を持たせてもらいたい。


主催者に音楽の先生の声が届くことを祈って止みません。