・村井県政を理解する

連日、新聞紙上を賑わしている村井知事ですが、やること成すことすべてが
過去の遺物みたいで、いちいち指摘するのも嫌気がさしてきます。
象徴的なのが知事室前の待合室。


知事への陳情や要望、面会する人が待機する「待合室」は、かつては親密度が低い方が待たされる場所だった。
親密な方は予約がなくても待たされることなく、予約して待っている人を横目に知事室に入っていく。
親密度は何で決まるのかな?献金、選挙応援、忠誠度、・・・。

    • 朝日新聞 「知事室前に『待合室』も復活 県庁」 記事全文*1


待合室を見た県職員のコメントがすべてを物語っています。
「6年前と同じ配置に戻った」
後戻りしないはずの村井県政は、言葉とは裏腹にどんどん後戻りしている。


村井県政の本質を突いた記事が週間金曜日に掲載されました。
・週間金曜日 第620号 2006年09月01日
タイトルは「どうなる長野県 「借金大歓迎」知事の誕生ではじまる“大逆流”」
脱ダムの論客で知られる保屋野女史による記事です。
先週号だからもう書店にはないかな。


脱ダムといえば、注目を集めそうなのが浅川ダムです。
長野市長が、県の高水協議会が基本高水を見直すべきだとした中間報告に「同意できない」と批判しています。
県では、正確な観測データを元に基本高水を随時見直すべきだとしています。
その根拠は、「河川の想定最大流量を示す基本高水が不十分な観測データから導かれている」からです。


この点については、過日ご紹介した「脱ダムから緑のダムへ」のシンポジウムでも指摘されていました。
降雨量と河川の想定最大流量のつじつまが合わないんだそうです。
降った雨がほとんどすべて川に流れる想定になっているらしい。
アスファルトで固められた都心なら有り得るかも知れませんが、森林を含む流域では有り得ない。


条件設定に疑問があるなら、実際に測定して確かめるのが一番確実です。
ところが、長野市長は、「長野県だけが特殊な方式を採用するのは認められない」として断固拒否の構え。

治水安全度を完全に満たすためにどの手法が最善なのか、技術的な検証が重要。ダムも一つの選択肢だ

この人は、技術の根幹というものがまったく分かっていないようです。


技術的な知見は、実際の現場のデータを集積・分析して得られます。
シミュレーションも現実のデータがあって初めて可能となる。
根本のデータがあやふやでは技術的な検証などまったく意味を成さない。
高度に技術的な検証をやろうとしているのが高水協議会の中間報告であります。


本音はこっちのコメントの方でしょうね。
「村井新知事誕生で、浅川問題の前進が期待できる」
技術的な検証というのは、政治的な技術によって高度な政治判断で検証することを意味する。
すなわち、知事と隠れて会って相談することでダム建設に結びつけるつもりなんでしょう。


浅川ダムの建設を許してしまえば、過大な基本高水が市民権を得てしまう。
ダム建設推進のために捏造されたデータに惑わされることなく、実態に即した治水対策を県に要望したい。
村井知事は、昔のデータに捉われることなく、最新のデータに基づいた技術論で検証してもらいたい。
ましてや、人情でダム建設に踏み切るなんて事は絶対に許してはならない!

*1:県庁3階の知事室前に8日、知事への陳情や要望、面会する人が待機する「待合室」が「復活」した。田中前県政の象徴の一つだった「経営戦略局」の一部を引っ越しさせてスペースを確保。木製の大机を置き、周囲に20個のソファを配置した。木製の大机は田中県政以前、来客の待合用として同じ場所にあったものだという。「6年前と同じ配置に戻った」と、懐かしそうに眺める職員もいた。村井知事はこの日、土木部や住宅部、生活環境部など各部局から、主要事業の説明を受けることに時間を割いた。田中前知事が毎週金曜日に開いた会見はなかった。