・借金地獄へ一直線

県立高校再編が一部で暗礁に乗り上げました。
昨日の文教委員会での否決を受けて、本日行われた臨時県議会の本会議でも6つの統廃合が否決されました。
臨時県議会の本会議で否決された統廃合。

  • 長野南と松代
  • 中条と犀峡
  • 蓼科と望月
  • 谷東と岡谷南
  • 飯田工業と飯田長姫
  • 大町と大町北


一方、飯山南と飯山照丘、中野と中野実業、木曽と木曽山林の3つは可決されました。
これによって、県教委が計画した高校再編計画は、大きく後退する見込みとなりました。
多くの再編計画を先延ばしにしたことで、財政的な負担が重くのしかかります。


地域合意の得られなかった再編案に対して、県議会がNOを突きつけた形となっていますが、
「県議会の同意が得られれば、地域合意が得られたものと考えてよい」との知事解釈を尊重すれば、
県議会の否決によって、地域の合意が得られなかったことなります。
村井知事は、選挙公約で「地域合意のないものは白紙」と言っていましたから、
県議会が知事の公約を代弁したことになり、知事は、再編計画を白紙にする必要があります。


ところが、村井知事の「白紙」というのは政治家独特の都合の良い言語のようですから、要注意です。
村井知事は14日、県会会派の「緑新会」からの申し入れを受けた際に、
「当面白紙」とした、衆院議員時代の秘書ら三人を任期付き職員などとして採用する方針について、

任期付き職員(の制度)は高く評価している。場合によっては(採用が)ある。

と述べ、いずれ登用したい考えを改めて示しました。


村井知事の言うところの「白紙」は、一般的な言葉で翻訳すると「一次棚上げ」に相当しそうです。
これを裏付けるものとして、高校再編案のうち長野と岡谷は一年延期で提案されました。
すなわち、一年間棚上げ=白紙となるわけで、村井知事の言うところの白紙にした提案となるんでしょ。
国会議員として長い間「先生」呼ばわりされてきたので、庶民の言語に精通していないようですから、
知事発言は、日本語ではなく「村井語」であるとの認識で、翻訳しながら理解する必要がありそうです。


ともかく、高校再編が先延ばしされたことで、抑制幅が小さくなった財政はさらに厳しい状況を迎えます。
しかし、村井知事は、この程度のことはなんとも思っていないでしょう。
その証拠に、県債発行額増加を容認発言しています。


産経新聞のインタビュー記事で、村井知事が借金増加へ踏み出すことを確認。記事引用→*1
田中知事と県の職員が知恵を絞って、やっとの思いで減らした借金を元通りに増やして、
再建団体へ転落の道を進むことを目指しています。


村井知事が、本日参院議員の辞職を発表した竹中大臣だったなら、この発言にも少しは現実味がありますが、
誰が考えても、経営手腕を持たない素人です。
東京大学経済学部を卒業して通商産業省にいたとしても、役人として金勘定ができたに過ぎない。
元手を増やす能力があるとは思えない。


経営能力がない自治体の長が金を儲けようとすると、結果がどうなるのかは日本中の人が知っています。
無駄な公共事業の山を築き、財政破綻で住民に迷惑をかけている自治体はどこにでもあります。
夕張を例に挙げるまでもなく、長野県の末路は確定したも同然です。


それでも、村井知事は、借金を元手に公共事業に投資するでしょう。
そこで、県議は投資効率を厳密に検証してもらいたい。
投資に入る前に、シミュレーションを提示させて、無理のない経営が可能なのかチャックすべきです。
彼らにはそんな能力はないでしょうから、外部の知恵をお借りして財政諮問委員会の設置を提案します。
知事の諮問じゃダメだよ。県議は民意を代表しているはずだから、しっかりやってね。

*1:県債発行額増加を容認 村井知事インタビュー  村井仁知事は14日、産経新聞社のインタビューに応じ、国の補助金事業を積極的に活用する意向を強調した上、財政運営については「真水(=十分な税収などのこと)がない以上は、県の負担の調達には県債発行しかない。資産形成のための借金はおかしくない」と述べ、県債発行額の増加を容認する考え表明した。 借金残高の減少させるために、一貫して県債発行を抑制してきた田中康夫前知事の手法とは一線を画し、来年度当初予算では財政運営の転換が鮮明になる可能性が強まった。村井知事は、これまで県は、国の補助事業を「けっ飛ばしてきた」と批判。補助事業の活用は「当たり前」と述べ、「経済の刺激にもなる」とし、税収の確保にもつながるとの考えを示した。