・知事たちの悪質な情報操作

田中前知事が、外郭団体などの15もの役職に留まっていると報じられました。
ネットで検索できたものは、SM新聞と読売新聞の記事。


読売新聞の記事は、緑のフォーラムという県議会派が村井知事への頼み事の場で発言させたというもの。
何で?と疑問に感じませんか。
県議会が知事に要望して前知事を批判させたのだとしたら、
この両者の関係は、どんな利害関係にあるのでしょうかね。


記事は、「前知事、団体役職辞任なしに村井知事が不快感『けしからん』」。

前知事の田中康夫氏が、知事退任後の現在も県の外郭団体など15団体で理事長や会長などの役職にとどまっている問題について、村井知事は15日、「公職を私物化しているとしか言えず、深刻な問題。非常にけしからん話で、目に余る」と不快感を示した。県議会会派「緑のフォーラム」の要望の場で発言した。

いわゆる「やらせ」ですから、恥さらしな行為だと指摘しておきましょう。
読売新聞の報道姿勢も、田中前知事の行為というよりも、それに固執する村井知事に焦点を当てている。
よいところに着眼した、筋が通っている記事だと思います。


一方、悪質なのがSM新聞。「田中前知事 現在も15団体の役職にとどまる」 記事引用→*1
この記事を読んだ長野県民の多くは、「田中前知事って悪い人だね」と感じるでしょう。
昨日は、このブログの別記事のコメントでも、この件が取り上げられていました。
そのように仕向けるために仕立てられた記事ですから、狙いどうりの効果を発揮しています。


では、この記述が正確なのかというと、新聞報道としては許されないほどに事実に即していません。
嘘は書いていないが、真実も書いていない。
記事によって一部の事実だけを誇張して、世論を扇動しようとするSM新聞の得意技です。
名づけて田中スペシャル!田中前知事を貶(おとし)めるために、編集部が使う必殺技。


このブログは、長野県政のこれからを考えることが趣旨なので、昔のことをほじくり返して
ああだ、こうだ、などとやるつもりはありません。
この件も取り上げないつもりでした。
しかし、県議会と村井知事が、グルになって恣意的な情報発信をしているとあっては黙っていられません。


私が、入手した事実をお伝えしましょう。(実は読者提供です・・・)

  • 田中前知事が役職付いていた団体というのは全部で91団体あった
  • うち任期を知事在職中に限るものが76団体で、これらは退職と同時に自動的に解任
  • 残り15団体については、規約で任期が定められていて、続けるかどうかは本人の意思による
  • 報酬は公職中はもらっていない
  • 仮に今後も継続すると、理事職でも報酬はなく、実費としての日当や交通費が支払われる場合がある
  • 田中氏は海外に渡航中のために対応できない状態
  • 帰国後にそれらについての処理する予定であった


これを見る限り、県議会の一部会派が知事を煽って批判させるような重大な問題だとは思えませんね。
SM新聞でもこの程度の取材はできるはずですから、
田中氏に都合の悪いところだけを取り上げて記事にした悪質な記者か、
もしくは記者は全体像を把握した記事を書いたが編集で操作された悪意の記事。
どちらにしても、SM新聞は事実を網羅した報道をしていない点において、劣悪な報道体質です。


田中前知事が帰国すれば、何らかの行動に出るでしょうが、
本人の口から経緯を明らかにしたほうがよいと思います。
ただし、これまでの経緯から察すると、「苦しい弁明」などのタイトルでSM新聞の返し技があるのかも。
過去の人より、今の問題児(老人)を何とかしろとSM新聞には言いたい!


また、この問題は、外部の者が容易に知りえる内容ではありませんので、
県の内部から情報がもたらされたと考えた方がよいでしょう。
田中前知事を嫌っている県職員が、内部情報を漏らして、村井知事に謙譲したとも考えられます。
すでに退場した田中前知事の亡霊に苛(さいな)まれる県職員・県議・現知事が哀れに思えて仕方がない。


追記。
村井知事の後ろ盾が、小泉首相補佐官の飯島氏であることは周知の事実。
だとすれば、田中(新党日本党首)批判は自民党による新党日本つぶしとの見方もできる。
SM新聞の大株主が、自民党国会対策副委員長の小坂憲次氏ですから、的外れの確率の方が低い。
小坂氏は、自民党の通信部会長と広報局長でもありますので、やってないと思う方が不自然。

*1:8月の知事選で落選した田中前知事が、在任中に就任した県の外郭団体など15団体の理事長や会長、理事などの役職に現在もとどまっていることが、14日までに分かった。田中氏側から辞任届などが出ていないことが理由といい、団体側は困惑気味だ。15団体は県体育協会、県中小企業振興センター、信州・長野県観光協会、県林業公社、県健康づくり事業団、松本空港ターミナルビル株式会社など。県経営戦略局によると、規定などで「長は知事が務める」と定めている団体については9月1日以降、自動的にトップが田中氏から村井知事に切り替わった。しかし、15団体は理事会や取締役会で田中氏が長などに選ばれているケースが多く、「辞任を届け出てもらうのが普通だが、それがない以上、こちらから動くわけにはいかない」(県林業公社)との事情がある。同局によると、田中氏が知事在任中、当時の県の担当者が本人に辞任の意思確認を行っていなかった。村井知事就任後、別の担当者が田中氏に電子メールで意思確認をしたところ、新党日本関係者から「保留」との返答があり、その後手続きが進んでいないという。現在も田中氏が会長を務める県体育協会の担当者は「前知事の意思が分からず、しばらく様子を見てから対応する」としている。