・上伊那のゴミ処理を考える

上伊那広域連合で計画しているごみ焼却施設は、設置区の下川手区による受入が決まりました。
しかし、施設に隣接している住民の多くは美原区であることから、
下川手区のみの受入で建設が容認されたと判断できない状況です。


この問題に対して、市民有志が実際に汚染を受ける地域を調べて通信を発行していますので、
ご紹介します。


上伊那の暮らしと環境通信
           発行:ごみゼロの会(代表 富沢好子FAX73−2180)


私たちは暮らしの中から環境問題に取り組んでいる市民有志の会「ごみゼロの会」です。
今回は私たちの生活ゴミを処理する「焼却場」(一般廃棄物の中間処理施設)について
暮らしの安全・環境という視点で考えてみたいと思います。

  • 焼却場は下川手?それとも美原?

報道によると、上伊那全域からゴミを集めて焼却する新しい処理施設を下川手区に設置することが提案され、
10月14日の臨時総会において46対20で受け入れを決めました。
用地は、実際には美原区といってもよい現行焼却場の隣接地で、住民の中には
同地区での「継続はない」という行政との約束が反故にされるのではと心配する声が上がっています。


また、手良・福島・上牧など環境汚染が心配される周辺地区民から、設置区だけ先行して
決めないで周辺区民にも情報提供と合意形成が必要だという要望書も出ています。

現在地に焼却場ができたのは昭和47年のこと。
すでに32年、新炉になって20年燃やし続けています。
この間に、焼却場周辺のみならず、竜東・富県の広域にわたって土壌汚染が進んでいます。


伊那市と清掃センターから公表されているH12〜15年のダイオキシン類の
土壌調査結果(単位:pg-TEQ/g)を見ますと、
竜西の伊那小校庭(0.22)伊那西小校庭(0.064)西箕輪老人憩いの家(0.17)と比べ、
竜東は伊那北小校庭(1.1)手良小校庭(3.2/H15年)美篶小校庭(2.1)と値が一桁高く、
直下の美原区公民館(1.9)よりも福島公民館(2.1)下棚集会所(4.9)セイブグリーンンパーク東市道(23)と
竜東から手良にかけてかなり濃度が高いのです。


指摘を裏付ける濃度分布図は→ダイオキシン濃度分布


また対岸の富県貝沼公民館(1.6)まで汚染が広がっています。
この結果は現行清掃センター建設時の20年前に実施した環境アセスメント
浮遊粒子状物質の年平均濃度)の結果と非常によく一致しており、
焼却場の排気ガスによる影響であることは十分推測できます。


ダイオキシンは微量であっても発癌性や生殖異常の原因となる特異な物質で、
国の基準値以下とはいえ、他地区に比べ異常に高いことは見過ごせません。

  • 焼却場は山が近い場所では不適
    • 竜東から手良・富県広域に滞留して麓に溜まる

そもそも焼却場の目的は、ごみを燃やすことで廃棄物の容積を減らす(灰にする)ことにありますが、
ダイオキシ類や水銀他の重金属など危険物質を含んだ大量の排気ガスを発生します。
洗浄装置やフィルターで除去しても完全には取り切れません。
(メーカーの話ではフィルターの機能には限界があり2%位は排出される)


従って、焼却場には必ず高い煙突があり、排気ガスを出来るだけ拡散させ希釈して危険を回避させるのです。
ところが、近くに山があると排気ガスは滞留現象を起こし、麓に溜まるのです。
現行地は年間通じて風が南北に吹き、北は手良の山、南は富県の高烏谷山によって遮られ、
そこの土壌に危険物質が溜まるものと考えられます。
すでに30年もの間燃やし続けてきた現行地で、この先20年以上燃やし続けて良いものでしょうか。

  • そもそも用地選定は何を基準に誰が・・・
    • 正確な情報と開かれた論議

上伊那広域連合では用地選定に当たって、選定基準を決めコンサルタントによる適地選定を進めていましたが、
候補地とその結果は公開されていません。
その後「用地選定は広域連合長伊那市長)に一任」することになり、
その後の動きは市民にはよくわからなくなりました。


[私たちの出したゴミは私たちの責任で]というのが基本です。
ゴミを出す当事者であり、環境被害を被る被害者でもある上伊那郡市民が参加して
[どうしたらより安全な処理が出来るのか]もっと開かれた議論を深めることが必要ではないでしょうか。

学習会のお知らせ

  企画/ごみゼロの会        改めて焼却炉を考える

知っておきたい焼却炉やダイオキシンの基本から、最新のゴミ事情まで・・・・
10月22日(日)午後2:00 中央区公民館 参加無料
  講師・関口鉄男氏 長野大学講師/前長野県廃棄物問題研究会代表  
★どなたでも参加できます。お出掛けください。_