・風力発電の功罪

伊那市東部の山峰に計画が進んでいる風力発電に対して、反対活動も活発化しています。
反対派の核は、自然保護団体と山岳会。


反対派が署名を集めるためのチラシを入手したのですが、
反対の根拠は、これまで語られてきたものから進展していません。

災害の恐れ

建設予定地の尾根は中央構造線に接しており、地すべりの多発地帯です。暮らしの安全は、この工事によって破壊される可能性が大きいのです。

中電の送電線には巨大な鉄塔が林立していますが、何でそっちはお構いなし無しなのか。

風車だらけの山になる

私達が誇るべきは何でしょうか。次世代に伝えるべきは巨大な人工物ではなく美しい風景です。私たちの世代が歴史を断ち切ることはできません。

原発設置の地域の住民に面と向かっていえますか?六ヶ所村の現状とどっちが良いですか?

貴重な生き物が住んでいます

一帯には貴重で多様な動植物が生きています。この豊かな環境を私たちの手で壊すわけにはいきません。

貴重じゃない動植物って何になるのかな?
今の人間の生活は環境破壊の上に成り立っていると思いませんか。

今こそ省エネを

クリーンエネルギーとして期待される風力発電ですが、山岳地帯での大規模開発は「地球温暖化防止」と「環境破壊」、「自然利用」と「自然破壊」が同居する矛盾を抱えます。しかしながら地球温暖化防止は逼迫した課題です。伊那の地にふさわしい新エネルギービジョンの早期策定が必要です。そして温暖化防止に最も効果があるのは、私達人間の省エネです。

論点のすり替えが目立ちますが、地球温暖化防止のために環境破壊があるのではなく、
エネルギー需要に応えるために環境を破壊して供給設備が必要になるのです。
自然が作ったエネルギーを利用しようとすれば、かならず自然破壊を伴います。
風力発電は、化石燃料の利用や原子力に比べれば、その程度が低いことがメリットです。


反対運動している人と話をしましたが、大事な論点を理解しないで「自然保護のための反対」になっている。
そもそも、新エネルギービジョンすら策定されていない状況では、責任ある反対論さえ何の根拠も持たない。
今のままでは、無責任な反対運動に終わってしまう危険性があります。


反対運動をしている方たちは、環境家計簿をつけて、自らの省エネ達成を明らかにし、
責任をもって省エネで問題が解決できることを提示してもらいたいと思いますが、
実際には、灯台下暗しの状態だと思います。


脱原発、温暖化防止のためには、代替エネルギーの供給が不可欠な状況にあります。
それは、反対運動をしている人たちも含めて、生活レベルを下げたくない「エゴ」が働いているからです。
だからこそ、代替エネルギーの重要施設として、風力発電を効果的に利用する方策を考えるべきです。


そこで、提案ですが、伊那谷のエネルギーは、浜岡原発や火力発電所から供給を受けていることに対して、
まずは、これの削減を目指しましょう。
中電と風力発電開発事業者に対しては、風力発電の電力は地元供給を原則として、
供給分に見合う、火力、原発の発電量の削減が目に見える形で担保される電力計画の策定を求めましょう。


反対運動をしている人たちが気が付いていないのは、
自然エネルギーで今の自分達のエネルギー消費レベルをまったく維持できない現実です。
駒ヶ根市の試算では、現状で可能な範囲の新エネルギー量は、需要の5%にも足りません。
大規模な環境破壊や、生活環境への制約を受け入れなくては、
今のエネルギーレベルを維持できないことを示しています。


風力発電に対する無謀な反対運動はやめて、伊那谷のエネルギー展望を考える体制作りへの変換が期待されます。
化石燃料を無責任に使い続けている我々に、環境や歴史を盾に反対運動する権利はないのですから。