・ペレットストーブっていまいち

原油高に伴う灯油価格の高騰を受け、県林務部が、
間伐材で作る「ペレット燃料」のPRに力を入れている。


化石燃料より環境に優しい−とされながら、価格面が課題となっていたが、
9月の県内灯油価格で試算したところ、
「1シーズンの燃料代はペレット燃料が2000円余り高いだけ」と同部。
専用ストーブ購入に対する助成制度の申し込み期限も当初の10月末から来年2月まで延長し、
利用を呼び掛けている。


林務部では、暖房器具を使った場合の燃料代を試算。
灯油は6万590円、ペレット燃料は6万3000円で、差額は2410円だった。
県内の灯油の9月平均価格は05年が69円、04年は54円だったことから、価格差は縮まった。


ただ、ペレット燃料専用ストーブは、県が認定したもので35万−39万円。
県は本年度、ペレットストーブを購入する個人に10万円を上限に助成する事業を創設し、
100台分・1000万円を予算化したが、これまでの申し込みは53台にとどまっているため、
申し込み期限を延長した。


同部によると、県内では昨年度までにストーブ461台、ボイラー16台が設置され、
燃料として利用された間伐材などは発電用を含め年間で推計5552立方メートル分。
県は15年度に同6万立方メートルまで増やすことを目標としており、
ストーブを導入する市町村への助成を進めるなどしている。


しかし、信州型のペレットストーブには大きな欠点があります。
それは、心材で作った純粋なペレットしか受け付けない特性にあります。
バーク(樹皮)が混入した、廃材から作られたペレットを燃料に使えないのです。


そのために、製材所の端材などの二次利用できない木質系廃棄物がペレット化されずにいます。
現状のペレットストーブは利用価値のある間伐材を燃料として「処理」することを目的として作られています。


本来なら、廃材の有効利用の手段としてバークペレットを燃料としてこそ、
二酸化炭素排出削減の効果が上がるのですが、
二酸化炭素を固定している間伐材を燃やしてしまっては、削減効果が下がってしまいます。
木材として利用できるものは、二酸化炭素の固定のためにも、
長期間、木の形をとどめる方向で利用しなければなりません。


バークペレットを使えない構造を選択したのは、ストーブの開発が容易になるからだったようです。
ペレットストーブ製作のノウハウを持たない鉄工所と、県内の木材事情を知らない建築士が組んで開発したのだから、
技術力不足は、はじめから課題として突きつけられていました。


しかし、技術力不足がペレット原料の選択にまで悪影響を及ぼしてしまったことは、
ペレットストーブの普及には大きな障害になっています。
海外の先進メーカーのペレットストーブは、当たり前のようにバークペレットを燃料として使えます。
しかし、地元のペレット工場では、信州型ペレットストーブ向けに良質の心材ペレットだけを製造しています。


地球温暖化防止の貴重な道具となり得たはずの信州型ペレットストーブが、
開発者たちの技術力不足から、本来の目的とはちがった方向性に進んでしまっているのはとても残念です。
ペレット工場が稼動すれば、端材の有効利用になると心待ちにしていた製材所のうらみ節が聞こえてきます。