・世界のGDP3%でCO2削減可能

 国連の「気候変動に関する政府間パネルIPCC)」の第3作業部会は4日、バンコクでの総会で、地球温暖化を止める対策をまとめた第4次評価報告書を採択して閉幕しました。

 報告書では、費用をかけさえすれば、二酸化炭素(CO2)など温室効果ガスの排出量は大幅に減らせると指摘。最も厳しい削減シナリオを採った場合、削減コストは2030年の世界の国内総生産(GDP)の最大3%に相当すると予測しています。


 報告書は、CO2に換算した温室効果ガス1トン当たり20ドルの削減費用をかければ、2030年には90億〜180億トン、100ドルなら160億〜310億トンの削減が可能だとしています。

 世界の温室効果ガス排出量は現在、森林伐採によるCO2吸収量の減少分も含めてCO2換算で年460億トン。これが、何の対策も取らなければ2030年には537億〜817億トンになると予測しています。

 対策にかかるコストは、現在380ppmの大気中のCO2濃度を、445〜535ppmで安定化させるという最も厳しい削減シナリオを取った場合、世界のGDPは2030年に最大3%、50年に最大5・5%小さくなると予測するなど、三つの濃度パターンでGDP縮小幅を示しています。


 今回の報告書が、温暖化は止められるというメッセージと、そのための対策やコストを選択肢として示したことは、今後本格化する2013年以降の国際的な削減の枠組みとなる「ポスト京都議定書」の交渉に大きな影響を与えそうです。


 地球破壊のシナリオが具体的に示されたことで、人類の理性と身勝手な欲望の葛藤が、全世界の人々の責任として重くのしかかりました。

※読売新聞(2007年5月4日)の記事を引用