・バイオ燃料は救世主となるか

 日本のエネルギー自給率が4%であることを、日本の国民は理解しているのか。

石炭採掘が中止された現在では、化石燃料のほとんどを輸入に頼っている「エネルギー寄生虫」といっても過言ではありません。

さらに、地球温暖化防止の国際的な流れから脱化石燃料の動きが始まっても、日本は時流に乗り遅れています。


化石燃料の主役の座を狙っているのがバイオ燃料ですが、ブラジルを筆頭にバイオエタノールへのエネルギーシフトの動きが活発になってきました。

ブラジルの2005年のバイオエタノール生産量は1607万キロリットルとトップの米国(1621万キロリットル)に迫る勢いです。


一方、日本の生産量は30キロリットルと「万」が取れてしまうほどの桁違いです。

京都議定書目標達成計画では、2010年に50キロリットルの導入も掲げていますが、1.6万倍もの生産量を確保できるはずもなく、ほとんどが輸入に頼るのは明白です。


第二次世界大戦は、エネルギーを求めて他国へ侵略戦争を仕掛けた側面がありますが、不戦憲法を変えて戦争への体制つくりを進める現状からは、エネルギー戦略と軍事戦略が密接に関係していると考えられます。

しかし、日本が増強すべきは軍隊ではなく、エネルギー生産力です。

エネルギー輸入経路の確保のために軍事力が必要との間違った考え方を捨て、軍隊で守る必要のない自国のエネルギー生産にシフトすべきです。


日本の水田は、減反政策で40%が米を生産していないのだから、見方を変えればエネルギー作物の生産能力は十分に余裕がある状態です。


折りしも、バイオ燃料の生産のために、日本が輸入している食品原料が高騰しています。

穀物の需要が、食料原料からエネルギー原料へと変化していることが大きく影響しています。


日本は、食料自給率もカロリーベースで40%と言われていますが、主食である穀物では27%とさらに下がります。

これは先進諸国の中では突出して低い値で、自立国家としては危機的な状況にあります。


食料自給率とエネルギー自給率が密接な関係を持つ21世紀は、安倍政権の軍拡路線では乗り切れません。