・温暖化対策は「美しい星50」 

温室ガス50年に半減表明 あいさつする安倍首相

 安倍首相は24日、地球温暖化対策に世界全体の参加を呼びかける戦略「美しい星50」を発表した。

5月24日の朝日新聞を引用してお伝えします。


2050年までに全世界の二酸化炭素(CO2)など温室効果ガスの排出量を現状から半減させることを世界共通の目標として掲げ、ポスト京都議定書となる13年以降には米国、中国、インドなどすべての主要排出国が参加できる枠組みづくりを提唱した。


同議定書で日本が12年までに90年比で6%削減するとした目標の達成に向け、計画を見直す考えも示した。

 同日夜、東京都内であったアロヨ・フィリピン大統領らアジア各国首脳が参加した会議での講演で表明した。

6月に独ハイリゲンダムで開かれる主要国首脳会議(G8サミット)で各国首脳に伝え、来年7月の北海道洞爺湖サミットに向けて環境分野での日本の主導権発揮を目指す。


 首相は排出量削減のための長期戦略として、50年までに半減するとの数値目標を提案。これを実現するため、経済成長と排出削減を同時に追求できる「革新的技術の開発」や「低炭素社会づくり」を掲げ、原子力発電技術の安全で平和的な利用拡大などを挙げた。

 また中期戦略として、京都議定書の第1約束期間(08〜12年)後の枠組みづくりに向けた「3原則」を表明した。
(1)排出量が世界1、2位の米国や中国などすべての主要排出国が参加し
(2)先進国や途上国、新興国それぞれの事情に配慮した多様な枠組みとし
(3)省エネ技術を生かし、環境保全と経済発展を両立させること
を提唱した。


 首相はこれに関連して「京都議定書は温暖化対策の第一歩だったが、限界も認めざるを得ない」としたうえで、「米国、中国、インドなど主要排出国すべてが参加する枠組みを構築する必要がある」と述べた。

 また、途上国からの参加を促すため、日本などが排出削減に熱心な途上国を支援する「資金メカニズム」の構築を目指すことを表明。

日本の省エネ技術を広め、途上国が温暖化対策と公害対策を一体で取り組める仕組みづくりや、排出量取引などの手法を検討していく考えを明らかにした。


 一方、京都議定書で日本に課せられた12年までの排出量6%削減という目標の達成に向け、今年度中に京都議定書の目標達成計画を見直すことも表明。

排出を「1人1日1キログラム」減らすよう家庭や職場の努力を呼びかける、と語った。環境省によると、例えば冷房温度を1度高くすれば35グラム、シャワー時間を1分減らすと74グラムの削減になるという。


 首相はこの戦略をふまえ、温暖化対策の論議をリードしたい考えだ。

だが、数値目標の設定などをめぐって欧州連合(EU)と米中などとの立場の隔たりは大きく、各国を巻き込む枠組みづくりは難航が予想される。

毎日新聞 2007年5月28日 13時09分