・打ち水は温暖化防止には効果なし

打ち水をする、浴衣姿の女性たち=9日正午すぎ、大阪市中央区で

今年も各地で、大規模な打ち水イベントが開催されています。

中には、地球温暖化防止の対策の一つと位置づけている、おバカな主催者までいます。


打ち水の効果は「一時の涼を得る」に限られます。

涼を得られたことと、温暖化防止の対策が直接結びつけるための、例えば打ち水をした周辺の店舗の冷房を切るとか、車の冷房を止めるとか、次の行動に結び付けないとほとんど無意味です。


百歩譲って、打ち水で涼しくなることで、暑さを再認識して、温暖化防止への必要性を確認させる効果がないともいえない。

しかし、打ち水をするための「水」を移動させるために、イベントによってはかなりのエネルギーを消費していることを参加者には正確に伝えていない。


例えば、大阪・御堂筋で播かれた17トンの打ち水

0.8度下がったと大喜びしている参加者には悪いが、浴衣や作務衣(さむえ)姿の百貨店員や会社員ら計約3000人が、梅田から難波までの御堂筋約4キロで水をまくための移動に使ったエネルギーの分だけ、温暖化を加速したとも言える。

梅田-難波だから人は地下鉄利用して集まっただろうから無視できないこともないが、この作戦で使われた高度処理水約17トンは、間違いなくタンクローリーで運ばれたはずだ。


啓発イベントとしての効果を期待していると好意的に捉えるにしても、負の側面が混在していることを参加者に正確に伝えた方が良いと思います。


賢明な読者には釈迦に説法かもしれませんが、0.8度下がったのは地表面付近の空気の温度であって、打ち水が蒸発した水蒸気には0.8度に相当する蒸発潜熱が含まれて、上空の温度を高めています。

だから生活環境の温度低下であっても、地球温暖化防止の効果は全くないのですよ。


打ち水で温暖化防止の効果を上げるには、打ち水で温度が下がったらその分の冷房エネルギーを削減する努力が絶対条件です。

もちろん、湿度が上昇しますので、風で湿気が飛ばされる条件でないと、不快指数が向上して、より暑く感じるなんて大失敗を招くよ。