・桐の伐採を頼まれて

一昨日、産婦人科医院の開業にともなって伐採された樹木をもらった話をしたところですが、今日もまた「困った立木があるのだが・・・」と相談に来られた方がいました。

うちの娘がお世話になった先生ですが、退職されてご実家の管理に忙しいのだそうです。


庭の一角に桐の大木があって、上部が枯れて危険な状態にある。

根元は60cm以上あるので、素人では伐れない。

思いついて我が家を訪ねてくれたんですと。


薪にでもならないかということなんですが、桐は薪としては最も不向きな木です。

枯れ木となってしまった状態では桐の素材として扱うには質が劣化している。

そうはいっても、倒れて近隣の迷惑になってはいけないので、伐採の手助けに出かけることにしました。


うちにある一番大きいチェーンソーはスチールの026で45cmのバーが付いています。

40cmのバーがついた024も、もしもの時のためにもっていきます。

ところが、エンジンがかかりません。

燃料を完全に抜いた状態でしばらく動かしていなかったので、ガソリンがいきわたるのに時間がかかるようです。

スターターを引き続けてかけようとすると疲れてしまうので、シリンダーに直接ガソリンを流し込んで無理やり始動します。

これを数回続けると、休んでいたエンジンがかかりました。


車で30分くらいで問題の桐があるお宅へ到着しました。

周囲に障害物もないので、すぐに伐採にかかります。

受け口を切り込んだところで、内部が中空(うろ)になってぽっかり口を開けました。

追い口は、芯がない木なので周りだけ伐ればいいので、バーの長さが足りなくても全然問題ありません。


伐採してみて腐朽がかなり進んでいることが分かり、桐材として使うことはできません。

1mの長さに3分割して、軽トラックに乗せて持ち帰ることにしました。

比重が軽い桐とはいえ、直径が60cmもあるし、生木だから1mの長さに切っても持ち上がりません。

そう思って、あらかじめ足場板を持参していたので、この上を転がして乗せると楽に作業ができます。


山仕事は、この道60年のベテラン職人さんと一緒に山に入っていろいろと教えてもらいました。

こんなときに、職人の知恵が役に立ちます。