・新築そっくりのリフォーム見学会

駒ヶ根市内で住宅リフォームの現場見学会が行われていたので出かけてきました。

大手の不動産企業が新築にそっくりになるといって宣伝しているあれです。

新聞の折り込み広告に「断熱材・断熱サッシの使い方の違いで保温性が大きく変わります。現地スタッフにおたずねください!」とあり、大手の断熱リフォーム技術を教えてもらえるよい機会だと思ったのが動機です。


結論から言ってしまうと、期待はずれでした。

現地スタッフに断熱材や断熱サッシに詳しい人はいませんでした。

広告に偽りありです。


意匠としての新築そっくりを重視していて、住宅の性能向上にはあまり力を入れていないようです。

床下や天井裏も見せてもらったのですが、古い断熱材がそのままにされていたり、断熱欠損があったりとかなりずさんなものでした。

お客様に断熱の話をしても理解してもらえないというのが理由らしいのですが・・・。


駒ヶ根省エネルギー基準はⅡ区分です。

Q値は1.9が基準とされています。

しかし、2千万円ほどかかったと思われる大規模にリフォームされた住宅が「Q値は計算してません。気密測定もしません」というのでは、基準があっても無意味ですね。


標準タイプのリフォーム工事では、内装をきれいにするだけで断熱には手をつけないそうです。

オプションで断熱材を入れ替えた壁でも、使っているのは10Kという最低ランクのグラスウールです。

我が家の断熱リフォームにはこれを使っていますが、ホームセンターで手軽に手に入るからというだけの理由で、16Kや24Kがあればもちろんそちらを使います。

業界第1位を自慢する大手不動産の新築そっくりのリフォームに、最低ランクのグラスウールが使われていることに、業界の断熱軽視の意識が潜んでいるように思います。


じっくりと話を聞いていると、窓も含めてリフォームした寝室では結露に悩まされているようです。

一番安いペアガラスを入れただけのサッシが使われているからです。

ペアガラスのサッシを入れ替えるよりもペアガラスの内窓を追加した方が機能が増すのではと振ると、「予算も半分で機能もそちらの方が高いですよね」と知っていながら提案していない実情に触れました。


ざっと見た感じではQ値は3から4の間ではないでしょうか。

見学会だから暖房器具はフル稼働していましたが、お施主が使っている石油ストーブがあちこちに置かれていました。

深夜電力を使った蓄熱暖房機が設置されていても、断熱が不十分なので能力不足なんだと思います。

石油ストーブを使うことで結露に拍車をかける負の連鎖に陥っている。


住宅をきれいに化粧し直すリフォームも大事ですが、さらに良質な住宅にするには適切な断熱リフォームも欠かせません。

外断熱の技術はあるのかと聞くと「ありません。」と答える情けなさ・・・。

チラシには『断熱工事と蓄熱暖房機による暖房で暖かく生まれ変わりました。』と、むなしい売り文句が並んでいた。


ついでに書いておくと、24時間換気設備が備わっていましたが、標準装備の第3種換気でした。

吸気口はリビングの壁にあり、寒い日には氷点下の冷気がそこからダイレクトに室内に流れ込むというお粗末なもの。

天井裏から覗いた時には、リビングのダウンライトの場所が断熱を取り除いてスカスカにされていたので、リビングには天井からも冷たい外気が降り注いでくるのは確実。

気流計画もあまりにずさんです。


住宅リフォーム受注実績4期連続業界第1位の住宅の断熱リフォームがこれほどひどいとは予想外でした。

最先端のリフォーム技術に触れることを期待していただけに、その落差に愕然とした思いです。

これが業界の標準ではないことを祈りたい気持ちです。