・太陽光発電は元が取れない

太陽光発電の買い取り価格が二倍になって、設置台数が急増しているという。

早期に元が取れると販売店などが宣伝しているせいだろう。

本当に元が取れるのだろうか。


自宅に4.16kwのパネルを取り付けた場合を2パターンで試算してみた。

一パターンは、倉庫の屋根に取り付けて発電電力の全量を買い取りの対象にした場合。

屋根が真南ではないので、発電効率は真南に対して9割に下がるという条件の元、松本市の年間発電量を引用した。


発電量は一年間で4408kwで売電収入は21万円だからkwあたり5万円だ。

太陽光発電システムの1kw当たりの単価は、国と自治体の補助を入れて54万円だから単純計算で11年で元が取れることになる。

しかし、パネルで発電した直流電力を家庭電源の交流に変換するためのパワーコンディショナーが10年しか使えない。

これがかなり高価なもので1kwあたり8万円もする。

これを加味すると15年目でやっと元が取れる計算になる。



違うパターンは自宅の消費電力に太陽光発電を使った場合。

発電量は一年間で4408kw、自家消費電力は実績値で2400kw、売電電力は約2000kwになる。

売電収入は9万6千円、自家消費分はこれも実績で5万6千円、合計15万2千円を発電したことになるから1kwあたり3万7千円弱。

太陽光発電システムの1kw当たりの単価は、54万円だから単純計算で15年で元が取れることになる。

やはりパワーコンディショナーが10年しか使えないので、これを加味すると24年でやっと元が取れることになる。


買い取り価格が2倍になった現状でも24年待たないと元が取れない。

節電がかなり進んだ我が家の試算だから、電気を浪費している一般家庭だともっと条件は悪くなるはずだ。

買電メーターの更新費はユーザー負担だとすると、さらに条件は厳しくなる。


「元が取れるから」という安易な発想で太陽光発電に飛び付くのは得策ではないと分かったが、近い将来はこの条件に変動がありそうだ。

国内の太陽光パネルは高価だが、アメリカでは低価格が当たり前になりつつあるという。

日本国内で主流となっているシリコン結晶型が時代遅れになる可能性もある。(価格的に)

電力の買い取り価格を2倍にして需要を喚起したのは、既存の太陽光パネル産業の保護政策の側面があるのかもしれませんね。


地球温暖化に貢献するために先行して太陽光発電を取り入れた方々の意欲は高く評価したいと思います。

しかし、我が家の地球温暖化防止対策に太陽光発電が取り入れられる日が来るのは、まだまだ先になりそうです。

その理由は、身の回りに豊富にあるバイオマス資源を最大限利用しているからCO2の排出が一般家庭に比べて極めて少ないことと、最大の排出源はガソリンに由来するので電気自動車と併用しない限りは太陽光発電に投資するメリットが小さいからです。


太陽光発電減価償却期間が短くなったのなら投資効果があるかもと思って試算してみましたが、結果には大きな疑問符がつきました。

元々投資するほどのお金もないのに試算したのが間違っていたようです。