・反党行為に一番の厳罰

政治家の順法意識は著しく偏っていると思う。

それは現在の総理大臣が顕著だ。


昨日の午後、鳩山総理は参院予算委員会で、「党にとっては反党行為が一番厳しく罰せられなくてはならない」と答弁した。

改革クラブ大江康弘氏の質問に答えた。

大江氏が、2008年に反党行為で自らが民主党から除籍処分となったことに触れた上で、政治資金規正法違反罪で逮捕・起訴された民主党石川知裕衆院議員が同党から「何も問われていない」と首相にただしたことへ答えたものだ。

政党内部の内向きの論理では有り得るかもしれないが、総理大臣が国民に向けて発する見解ではないだろう。


『政党にとっては反党行為は重大な意味をもつが、犯罪行為が一番厳しく罰せられなければならないのはあらためて言うまでもない』と言うべきだったと思う。

そのうえで、党が処分するかどうかは政党内部の問題であると注釈をつければいい。

犯罪を軽んじているかのごとき印象を与えてしまっているが、犯罪を罰することは党内の処分の有無とは別次元の話だ。


政治にどっぷりと浸かっている政治家は、一般社会通念と異なる考え方が芽生えてしまうのだと思う。

立法の重責を担っているという自覚に欠け、永田町の通念が身に浸透してしまう。

選挙のたびに危ない橋を渡って、警察とのギリギリの攻防を切り抜けて当選した政治家が国会で活躍するので、ある面では仕方がないことだろう。

捕まらなければ犯罪ではないという政治家独特の『正義勘』が根本にある。


選挙の中枢に位置したことがある人ならばほとんどの人が、「これくらいなら警察は検挙しない」と判断したことがあるだろう。

その思いに至った時点で、すでに公職選挙法に抵触している自覚が生じているのだ。

制限速度を時速10km程度オーバーした感覚に近い。


交通の流れに乗るためには制限速度で走ってはいられないとう状況にある道路もある。

選挙に勝つためには、他の候補者がやっているくらいの違反は、こちらの陣営でもやってもいいに通じる。

しかし、この意識は順法精神を麻痺させ、やがて「ばれたら政治生命が終わるが、そこまでやらないと選挙に勝てない」という危険な状況に向かわせる。

ここ長野五区のボンクラ議員も、その一人だ。


こういうのが政治家だから、鳩山総理の言い分が生まれる。

犯罪行為に手を染めた者を除籍処分にしていたら、政党にはほとんど残らない!

検挙されて有罪になるまでは処分保留にしておかなければならないという政党の苦しい現状が反映されている。