・炭素税を申告税に

京都議定書の約束期間の初年度にあたる2008年度の日本の温室効果ガス排出量が、12億8200万トンだと発表された。

基準年の1990年は12億6100万トンだから削減には失敗している。

逆に1.6%増えてしまった。


しかし、海外の排出枠購入分などを削減量として繰り入れて、削減目標「90年比6%減」は、08年度分については達成できた計算になっている。

森林吸収で90年度比3.5%分を削減。

政府が購入した5年分の排出枠のうち1年分の1.6%分を割り当て、さらに電力業界が自主的に購入した排出枠約6400万トン(5%分)を繰り入れると、差し引き8.5%減となり、「目標達成」できたことになる。


森林吸収によるCO2削減は机上の空論である可能性が高い。

研究者によっては森林はCO2の排出源の可能性も指摘されているからだ。

間伐材を山中に放置する今のやり方ならメタンの発生を促進しているとも考えられるので、森林吸収の3.5%分はまやかしだな。


海外からお金で買った排出権は6.6%分に上る。

日本の温暖化対策は結局のところは金で解決する手法以外にないのだろう。

自民党政権が作り上げたニセの地球温暖化対策の実態がこれだ。


事実上、7.7%の削減失敗の状態にある。

国民一人一人がこの数字を意識しなければ、温室効果ガスの削減は成し遂げられない。

地球温暖化に疑念を持つことは自由だが、温室効果ガスの排出はそのまま化石燃料の使用を意味するから、現代人は削減義務を負う。

化石燃料を使う権利が今を生きる我々にあると考えるのは奢りに過ぎないからだ。


日本は温室効果ガスの削減を金で買い付けているのだから、税金が原資であることは疑いの余地がない。

するとCO2の排出は税金に直結している。

金を介在するまでもなく、炭素税の徴収を考えるべきだ。

年度末の所得税の申告に合わせて、炭素税も申告するように税体系を変えればいい。

一年間に消費した電気、ガス、水道、灯油、ガソリンなどを申告するだけだからそれほど手間はかからない。


日本が購入した排出枠は1500億円程度のようだから、総排出量で割ると1トン当たり120円くらいだ。(排出枠の購入単価は1500円/トンといわれている)

世帯あたりだと5トンと言われているから単純計算で600円。

これくらいの炭素税を徴収しても文句は出ないだろう。

それよりも徴収することで「炭素の削減」への意識が高まると予想される。


炭素税を申告税にするのは、良いアイデアだと思うのですがいかがかな。