・楽で得する節電術(7) テレビ信州ゆうがたget! 1

今日はテレビ信州の取材の日。
賢い節電術を視聴者にお届けするという企画です。
電力不足の夏を我慢で乗り切るのではなく、ちょっとした工夫で快適に過ごしましょう、との趣旨。
節電には状況に応じてさまざまな対策が考えられますが、信州の一般的な住宅にお住まいの方に、すぐにでも役立つポイントに絞り込みます。

一つ目は、エアコンの使い方。
巷では、エアコンの設定温度を28度と高めに設定して、さらにできる限りエアコンを使わずに扇風機で我慢を強いる切ない方の「セツデン(切電)」が広められています。
でもね、こんなことをやったら熱中症で死者が続出しますよ。
午後一時から四時までの電力消費を抑える、いわゆるピークカットを目的にするなら、こんなばかげたセツデン術はお断りです。

お勧めは、エアコンの連続稼動です。
気象庁では7月から、翌日に「猛暑日」が予想された場合に「高温注意情報」が発表されることになりました。
熱くなる日があらかじめ分るので、当日の朝からエアコンを強めに効かせます。
設定温度は高くても26度を下回るように!

節電のためには28度に上げましょうと言われている設定温度をあえて下げます。
朝の涼しいうちからエアコンを使うなんてばかげていると思われるかもしれませんが、ちゃんとした理由があります。
家を冷やして「蓄冷」するためです。

電力使用がピークを迎えるお昼過ぎには部屋は十分に涼しくなっているので、エアコンは能力を絞って運転するはずです。
部屋がひんやりしているので設定温度を28度に上げても、体感温度はかなり低くなります。
昼の一番熱い時間帯に向けて、朝から室内の空気だけでなく壁や天井、家具などあらゆるモノを「保冷材」にしてしまうという発想です。

逆を考えてみましょう。
エアコンを使わずに扇風機で我慢を重ね、窓からは熱風が吹き込んでくる昼過ぎ、もう我慢の限界だとエアコンのスイッチを入れると、室内の高温の空気と熱くなった壁や天井をそこから冷やそうとするので、エアコンはフルパワーで運転します。
電力使用のピークがさらに先鋭化して電力使用量が一気に大量になってしまいます。

涼しさを蓄えておく「蓄冷」では、あらかじめ室内はもとより家の温度を下げておくことにより、外部が高温になったとしてもその影響が現れるまでの時間差が重要です。
エアコンは、外部から侵入する熱の分だけ仕事をすればいいので、数十パーセントの節電になるはずです。
28度で暑さを我慢したり、扇風機で代用することで健康を害しては何にもなりませんからね。

ただし、ピークカットの節電にはなりますが省エネにはならないだろうとのツッコミが入ると思います。
大事なのは一日を通したエネルギー削減ではなく、ピーク電力を抑えることにあるので、目的を明確にしていないとこうした混乱が生じます。
また、ある程度断熱されている住宅なら蓄冷によるエネルギーロスはほとんど無いばかりか、状況によっては省エネになることもあります。
正確にはシミュレーションしてみないとなんともいえませんが、繰り返しになりますが目的をピークカットにおくならば、28度と扇風機の組み合わせよりも効果的です。

かといって扇風機がだめかといえば、そんなことはありません。
扇風機をうまく使えば涼しさを得ることが出来ます。
二つ目のポイント、扇風機の使い方は明日につづく。