・熊が出没、自動車通学へ


クマによる被害が後を絶たない。
30日午前10時半ごろ、伊那市長谷浦、無職、西村くにゑさんが
自宅の庭先でクマに襲われ、右耳や顔などをひっかかれて重傷を負った。
伊那署の調べでは、飼い犬が普段と違うほえ方をしたため外に出たところ、突然クマに襲われた。


庭に置いてあったミツバチの巣が荒らされていたといい、巣を狙って敷地に入り込んだらしい。
クマは成獣と見られる。


長谷地域ではミツバチを飼う人が多く、夏から秋にかけ、クマに巣箱を荒らされる被害がたびたび起こっている。
浦地区ではイノシシやシカに農作物を荒らされることも多い。
ただ日中にクマと遭遇することはほとんどなく、西村さんを診療所に運んだ小松忠人さんは
「野生動物と一緒に生活しているような場所だが、クマが人を襲ったことは聞いたことがない」
と驚いている。


県生活環境部によると、今年4月以降、ツキノワグマによるけが人は今回を含め14件15人目。死者は2人。
目撃数は9月末現在、前年同期の約3倍にあたる3031件で、集落では2133件の目撃情報が寄せられている。


住宅密集地でもクマの被害が発生してしまった。
5日午後1時半ごろ、安曇野市穂高有明の新屋公民館近くに住む、
農業の男性がクマに襲われ、顔にけがを負った。


安曇野署によると、男性の妻が自宅の庭先で干し柿を作るために
自宅敷地内にある柿の木から柿を収穫していたところ、クマが現れた。
妻が大声を上げたことに気づいた男性が駆け付けると、クマは男性の顔の右側をひっかき、逃げていったという。


駒ヶ根市内でも、昨日、東伊那でクマが公園で目撃され、小学校の下校で親が車で迎えに来ることになった。
しばらくは、車による登下校になる見込みだという。
市内の竜東地区(中沢・東伊那)は、アカマツ林に覆われているため、ツキノワグマの生息環境ではない。


食料となるドングリなどの木の実が少ないために、近辺にクマの存在を見ることはなかった。
しかし、クマは冬眠を控え、十分な食料を求めてかなり遠出していると考えられる。
本来生息していないはずの地域にクマが出没していることから、
「ここは安全」と言える場所はなくなってしまった。


原因の究明と、山の現状の把握が必須となっている。
山への恐れを持ち、山に感謝する気持ちを取り戻さないと、大変なことになるような気がする。