・県議会一般質問から_ダム

 村井知事は今月12日、県議会一般質問の答弁で、長野市浅川の治水計画案を
国の認可が得られる形になった時点で住民に公表する考えを示した。


 浅川はダム計画が復活するかどうかが焦点で、知事は年度内に方向性を決めたいとしてきた。
治水案策定のため、県は近く国土交通省国土技術政策総合研究所など
専門の研究機関と協議する意向を固めた。


 河道内遊水地(穴あきダム)計画の妥当性を証明するのが狙いで、
県幹部は「地質や断層、ダム構造など議論が分かれている問題について国の研究機関に意見を求めたい」としている。
国総研は、03年4月の省庁再編で設立。河川整備計画の指標となる河川砂防技術基準を作成するなど、
土木、港湾などの社会資本の企画立案をしている。


 脱ダム派はこれまで、「ダム予定地は地滑り地帯で、断層もあり危険」と主張してきた。
田中康夫前県政時代には、県議や地元首長などが参加した「治水・利水ダム等検討委員会」が地質に関して再調査を求めている。


 これに対し県は、地すべり等技術検討委員会から「ダム建設に支障となる第4紀断層は存在しない」との答申を受けているが、
地質の問題などについて理論的な反証をしてこなかった。県幹部は
「断層は権威ある学者にも意見を求めたい。官民問わずさまざまな研究機関の知見を集めて論証し、最終的な判断をしたい」
と話しているとされるが、国の研究機関である国総研だけでは「民の知見」を得たことにはならない。


さらに問題なのは、村井知事が8日の記者会見で、浅川の洪水時の想定最大流量「基本高水(たかみず)」について、
「(数値を)動かす理由がなかなかつくりにくい」と述べ、現在の数値(毎秒450トン)を見直しさない考えを示した。
県は基本高水を再検証するため、2003年度から5年間の予定で浅川の流量調査を行っているが、
村井知事は調査について「検証を10年、20年やったから(高水を)修正するというものでもない」とも述べた。


 六日に行った旧ダム予定地の視察で、ダム建設反対派住民から地滑りなどの危険性を訴えられた点に関しても、
「砂防指定地や地すべり地帯は過去にもいろんなところを見ている。取り立ててびっくりしたとかいうようなことはない」
と現状の危険性を無視する強固な姿勢を貫く構えだ。


 ダム建設に都合の悪い現地や雨量のデーターは表に出ないように蓋をし、
建設に都合の良い知見を集めることに腐心するようでは、一般社会から理解は得られないだろう。


我々にできることは、佐田玄一郎行革担当相を好例として村井知事を追い込むことかも知れない。
県議会は、田中前知事には重箱の隅を突いてでも、あら探しをしたが、村井知事には何もしないだろうから、
知事の弱みを握る県民がどれだけ正義感を発揮するかにかかっていると思う。