・一兆堂はやっぱりまずかった

17日の伊那毎日新聞に、駒ヶ根市のラーメン店「一兆堂」が
取り上げられていた。
店主の話として、開店当時の裏話まで取材されている。

今だから言うけど、以前のラーメンはとても食えたもんじゃなかったぞ


なじみの客に最近言われたせりふのようだが、
私も、お金を払って食べる食い物ではないと感じていた。


ところが、変わった趣向が受けてか評判が悪くないことに驚いていました。
私は単なるB級グルメでして、全国各地の安くて美味しいものを食べ歩いたこともあります。


昼はラーメン、夜は寿司(盛り合わせ)という具合に、テントを積んだバイクで回りました。
高くて美味しいものはよく知りませんが、大衆食としてのラーメンは、それなりに口に入れてきました。


そんな程度の舌しか持ち合わせませんが、開店当初の一兆堂のラーメンはひどいと思った記憶があります。
あまりのまずさに、それ以来一度も行ってないほどです。


ところが、17日の記事で店主本人が、

「でも…夢中で作って出しているラーメンは自分としては納得できるものじゃなかった。これでいいのかと内心不安だった」
 不安は的中。しばらくすると来店客が1人減り、2人減り…。客足は徐々に遠のいた。「やっぱり―」と思いながらも開き直った。
 「よく考えれば、自分にはまだラーメンを作れるだけのギリギリの知識しかない。だったら、何をどうしたらいいか謙虚に考えながら、うまいラーメンをつくるための研究を重ねていこう」

満足のできるラーメンを提供していなかったことを吐露しているし、
さらに、「今はこの味に手応えを感じている。開店当時とは全然違う」と言っている。


まともなラーメンを食べさせてくれるようになったということかもしれない。
まずくて高いイメージのあった一兆堂のラーメンが、うまくて安いに変わったかどうか、
折を見て試してみようかという気になりました。


伊那毎日新聞の記事は → 引用*1

*1:17時間かけて仕込む豚骨スープと素材を厳選した特製チャーシュー。5年間の研究の末につくり上げたこだわりの味が評判を呼び、県外からもラーメン通が訪れる有名店だ。大手コンビニチェーンとタイアップして限定発売したオリジナルカップラーメンも大好評を博したほか、長野市で開かれる信州ラーメン博にもこの2年続けて出店している。「実はラーメン屋のオヤジって一番やりたくない仕事だった。何か暗いイメージあったし…。ラーメンも好きではあったけど人より特別に―というほどでもなかった」 駒ケ根市にある菓子店の息子として生まれたが、跡のことは考えなくていいからやりたいことをやれ―と親に言われ、大学卒業後、自分の道を求めていくつかの仕事を経験したが探す道は見つからなかった。そんな時、当座の金に困ってアルバイトで働いたラーメン店が今に続く道の入口だった。 「それまで料理はあまりやったことがなかったけど、仕事として教えられたので渋々やってみた。そうしたら思っていたよりも簡単にできたし、意外なことに楽しかった」 能力を見込んだ店長に「一緒にやらないか」と誘われて正社員に。たちまち店長にまで登り詰め、ラーメンの魅力にとりつかれて懸命に働いたが、3年後に独立を決意した。 「店長といってもしょせんは雇われ。どうせなら独立して自分の味を追求したかった。良いことも悪いことも降りかかってくるけど、その分自分が成長できるから」 本場横浜での修業を経て01年4月、駒ケ根市内に「一兆堂」をオープン。新規開店とあって毎日たくさんの客が来た。 「でも…夢中で作って出しているラーメンは自分としては納得できるものじゃなかった。これでいいのかと内心不安だった」 不安は的中。しばらくすると来店客が1人減り、2人減り…。客足は徐々に遠のいた。「やっぱり―」と思いながらも開き直った。 「よく考えれば、自分にはまだラーメンを作れるだけのギリギリの知識しかない。だったら、何をどうしたらいいか謙虚に考えながら、うまいラーメンをつくるための研究を重ねていこう」 客がラーメンを食べる時の表情、食べ残しの量、食べ終わって帰る時の様子など、じっくりと反応を見ながら少しずつ改良を加え、理想の味に近づけようと地道な努力を繰り返した。ひたむきな取り組みが功を奏し、客足は少しずつ戻って来た。 「馴染みの客に最近言われた。『今だから言うけど、以前のラーメンはとても食えたもんじゃなかったぞ』ってね。今はこの味に手応えを感じている。開店当時とは全然違う」 営業時間は午前11時から深夜2時まで。朝7時30分には店に出て仕込みにかかる。午後の暇な時間に少し仮眠を取るが、それ以外はひたすらラーメンを作り続ける。寝るのは午前4時半ごろだ。 「寒い朝など、起きるのがつらいと思うことも時にはある。でも苦しいとは思わない。店はもう生活の一部という感じで仕事という意識がないから」 「今後はちょっと違う味にも挑戦したい。基本は変えないで進化させ『前よりおいしくなった』とお客さんに感じてほしいし、もっともっと満足して帰ってもらいたい」