・大型風力反対の影に村井知事

気候変動に関する世界市長・首長協議会


 伊那市の小坂樫男市長は16日夜、
長谷総合支所で開かれた長谷地域協議会で、
高遠町の入笠山や長谷の鹿嶺高原での民間大型風力発電計画に反対する考えを説明し、
同計画に替わる地域活性化策を来年度の一般会計予算案に計上すると述べた。
 委員からは市への批判や、市と長谷地域の関係を心配する発言があった。


さらに、市長は風力発電反対の後ろ盾として村井・長野県知事の存在に言及した。
 市長は長谷の住民の気持ちは理解できるとした上で

県内で最初に計画されたここ(伊那市)の結論が県全体に波及することを知事も心配している。踏みとどまらなければいけないとの考えに至った

と説明した。


 委員は「住民の気持ちを踏みにじられた」「住民が納得できるような説明を」と主張。
反対の考えは昨年6月以前に決め、12月の市議会全員協議会で述べた−との市長の説明に
「(全協前に)市長が長谷地域協議会に出席した意義は何だったのか」との意見も出た。
「地域は前向きに、市も地域の声を聞くべきだ」との発言もあった。


 代替活性化策は、白鳥孝収入役が、トレッキングコースづくりや有害鳥獣として
駆除したニホンジカなどの肉と雑穀を組み合わせた料理の開発を示した。


 小坂市長は取材に、今後、地元説明会を開く予定はないとし、
事業者の三峰川電力(長谷)が建設の具体案を示してきた場合は「地元にも説明する」とした。
以上、信濃毎日新聞2月18日

     ◇     ◇

 エネルギー問題として正面から取り組まない、逃げの市政は首長としての責任感が欠如している。
計画の代替案が地域振興とは、あまりにも現実から乖離している。
さらに、反対の影に村井知事による圧力の存在を認めたことは、市長としての自主性に疑義が生じる。


 17日に京都で開かれた気候変動に関する世界市長・首長協議会では、
2050年までに1990年比で80%もの削減目標を掲げたというのに。
あまりにも稚拙な伊那市のエネルギービジョンと、
これを県庁から遠隔操作する村井知事の井の中の蛙的世界観に失望するしかない。


 温暖化防止の取り組みが遅々として進まないのは、何者にも優先するはずの地球環境問題が、
利権にまみれた政治屋の権力と地域エゴに利用されてしまうからだと思う。