・太陽光発電が電圧上昇抑制

108.1ボルトの電圧を記録太陽光発電のパワコンの指示値(瞬時発電量)が、上がったり下がったりを繰り返すようになった。

一瞬、パワコンが停止することもある。

おかしいと思ってモジュール(パネル)を見にいっても、影になるようなものはない。


何らかのトラブルが発生しているのではないかと思って、施工会社へ電話してみた。

運良く、担当者本人が電話に出てくれたので、症状を説明したところ「電圧上昇抑制」だという。

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日本の家庭用電気の電圧は100Vと信じている人は多いと思いますが、電力会社から各家庭に常にピッタリ100Vで送られている訳ではありません。

電圧上昇抑制は水道に例えると分かりやすい。

朝夕の食事時など、多くの家庭が一斉に水道を使う時間帯に、水圧が下がって蛇口から出る水の量が弱くなるという経験をしたことはある人は多いかと思います。

水道局から供給される水道と同様に、電力会社から供給されている電気も、多くの家庭が一斉に使うと供給側の電圧が低くなったり、逆に電気の使用量が減ると電圧が高くなったりします。

しかし、あまりに電圧の変動が多いと、家庭で使う電気機器にも影響を及ぼしかねません。

そこで供給電圧を100Vより若干高めにしておくなど、ある程度の幅をもたせて送ることで対応しています。

電気の法律である電気事業法で、その範囲は101Vから±6Vと決まっています。

つまり電力会社は95Vから107Vの範囲で各家庭に電気を供給しているのです。


さて、川の水が川上から川下へ流れるように、電気は電圧の高いところから電圧の低いところへ流れていきます。

したがって太陽光発電など家庭でつくられた電気が電力会社の系統に流れていくためには、系統よりも高い電圧でなければなりません。

そこでパワーコンディショナーが、電力会社の系統の電圧を検知して、それよりも高い電圧となるよう調節します。


ところが、パワコンが調節する電圧も、107Vを超えることはできません。

そこでもし、系統の電圧が107Vに限りなく近かった場合は、パワコンの電圧を抑制する機能が働きます。

その結果、状況によって長さは変わりますが1回につき数分程度にわたって電気が流れていかない、つまり電気が“売れない”状態になってしまいます。

これが「電圧上昇抑制」がかかった状態です。

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前置きが長くなりましたが、中部電力の担当者が来て現状を調べていってくれました。

「来週火曜日には調査機器を設置して、一週間ほど調べてから対処します」と、見込みを述べて帰って行った。

ところが、後から電話があって、「月末まで調査に行けないから待て」という。

人員と機器が足りないから、調査に手が回らないのだという。


2〜3日ならまだしも、2〜3週間待てというのはユーザー軽視が過ぎるのではないかと思う。

電圧上昇抑制を回避するためにパワコンの電圧設定を上げて対処するから、屋内の電圧は108Vを超えることがある。

家電製品に悪影響が出るかもしれない。

そんなリスクを抱えたまま、2〜3週間も放置するというのは電力会社の怠慢だろう。

調査の需要が高まっているならユーザーを待たせるのではなくて、設備投資と人材育成を急ぐべきだ。


当たり前のことを言ってやったら、「それでは来週伺います」

なんだ、その気になれば来れるんじゃないか。

お人好しのユーザーなら、先延ばししようということだったわけですか。


太陽光発電ユーザーの10軒に一軒で、電圧上昇抑制が発生しているという。

気が付かずに発生していることも多々あるようです。

おかしいと思ったら家庭内の電圧を計ってみることをお勧めします。