燃費(電費)を決める要因 1.走行抵抗 (4)坂道での勾配抵抗

自動車には地球の重力が働いているので、低いところから高いところへ移動すには重力に逆らう必要があります。
これに伴って得られるのが位置エネルギーです。

上り坂で位置エネルギーを得るために、EVは平坦路に比べてより多くの電力を消費します。
重いものを高く持ち上げるほどにエネルギーが必要で、これが勾配抵抗として表されます。

急こう配だと燃費(電費)が悪くなるのは角度そのものによる影響ではなく、同じ走行距離ならより高く上るからです。
厳密には高負荷によりモーター効率が低下する影響もありますが、通常走行では無視できる範囲です。

勾配抵抗で得られた位置エネルギーは、下り坂では走行エネルギーとして利用できます。
この時、走行抵抗で相殺すると最も効率よく位置エネルギーを回収できます。
言い換えると、惰性で走ったほうが無駄がないということです。

ブレーキを使うと発熱でエネルギーが失われます。
回生ブレーキを使った場合でも発電効率によるロス、機械ブレーキ併用によるロスで20%〜70%が熱として失われます。

(回生イメージ図)

通常の道路は起伏が連続しているので、惰性を活かす走り方と、ブレーキ(回生を含む)を常用する走り方では燃費(電費)に違いが出ます。


《まとめ》

【勾配抵抗】
 登坂の際に発生する抵抗で、車体総重量と勾配による移動高さに関係する。車速には関係なく一定である。
 Re = Wsinθ
 Re : 勾配抵抗(kg)
 W : 車両総重量(kg)
 θ : 坂道の傾斜角度

資料画像:フリー素材集(http://freesozai.jp/itemList.php?category=roadsign&page=rds_092&type=sozai