・ずさんな情報に困惑する用地選定

市が上山田としてきた候補地。写真の奥の農地は下山田地籍上伊那広域連合の新ごみ中間処理施設の建設候補地を検討してきた伊那市の用地選定委員会のずさんな論議が明らかになりました。

高遠町上山田区域で建設用地として市が見積もった2万9千平方メートルのうち、約1万3千平方メートルは隣接区の下山田地籍であることが28日までに分かり、市は同日の委員会で「これまで十分に確認してこなかった事務局のミス」と陳謝しました。

論議の基礎となる事務局から提供される情報の信頼性が疑われては、委員会の決定事項が説得性を失ってしまいます。


ごみ処理施設の建設は、用地選定において候補地の反対運動に遭うなど、どこでも難航しています。

上伊那も御多分に漏れず、お役所的な「ここで良いだろう」的な用地決定では住民の理解が得られませんでした。

そこで、市民で構成する用地選定委員会を組織して「民主的に」用地を絞り込むことを考えました。


伊那市民によれば「非民主的な伊那市では画期的な出来事」だったようです。

しかし、委員の構成を見ると市会議員が多数名を連ね、全体の1/3を占めています。

これは伊那市では当たり前かもしれませんが、一般常識からすると”異常”です。


そもそも、市民に迷惑施設の用地を決定する権利が与えられることに疑問があります。

市民ができることの範囲は、住民の立場から意見を述べ、提案し、提言するところまでです。

行政と議会は、市民の提言を受け、自分たちの立場で責任を持って決定する「義務」があります。


今の伊那市のやり方は、決定する義務まで市民に押し付け、議会と市長は他人事の責任放棄を決め込むつもりのようです。

さらに、その市民委員会の中に大挙して議員が送り込まれ、市民の意見を装って、議会がなすべき決定を市民の意見に摩り替えてしまう「偽装市民的」委員会となってしまっています。

これらの潜在的な問題を抱えていた用地選定委員会に、今度は事務局のずさんな情報提供が加わったのが今回の一件です。


ずさんな調査に基づいた、偽装市民の思いを数値化した提言を、市の決定事項として肩代わりさせようとする小坂樫男という市長は、狡賢い人物なんですね。