・ごみ焼却場の最適地はどこなのか

上伊那地域ごみシンポジウム 2008/3/18 伊那市の県伊那文化会館 =伊那毎日新聞=長野県南部の上伊那全域を対象としたゴミ焼却施設が伊那市に計画されています。

建設予定地とされた地元住民は、独自に学習会を開いて受け入れの是非の検討に入りました。


学習会を開いたのは上伊那広域連合が計画する新ごみ中間処理施設の建設候補地、伊那市富県「天伯水源付近」の地元、桜井・北新両区や周辺の市民有志でつくる「ゴミ焼却場を考える会」。

「建設予定のゴミ焼却場の安全性を考える」と題し、元長野大学講師・元県廃棄物問題研究会長の関口鉄夫氏が講師を務めました。

地元を中心に100人余が参加し、関心の高さがうかがえます。


関口氏は、建設候補地に決まった三峰川下流左岸の水田地帯を今月5日に視察したとし、地図や航空写真から分析しただけでも「全く(建設の)適地でない」と感想を述べています。

理由として、三峰川と新山川が合流する河川敷のため地盤が弱く、地震発生の際に大きな揺れが起きやすいことや、南側に「壁のような山」があり施設の排ガスが滞留しやすいこと、近くに断層がある可能性などを指摘。

市の用地選定委員会が実施した候補地の選定作業については、科学的な評価がされていないと批判。今後は「区でしっかり議論し、科学的に検証を」とアドバイスしている。

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候補地の選定作業で下された評価が「思いの数値化」であることは、これまでにも指摘してきたので「科学的な評価がされていない」との批判は当たっていると思います。

安全な施設だからと言いつつも、人口密集度の低い田舎が建設地として選ばれるのは、原子力発電所などの場合と共通しています。


考える会は、ごみ処理施設について住民自身が勉強し、判断力を養う目的で今月発足。代表の井上清人さん(北新区)は「疑問点は多々あるはず。これからも学習会を重ねていきたい」と話していた。

焼却施設の規模や構造を検討する「ごみ処理基本計画推進委員会」の論議も、こうした住民の会と一緒になって疑問点を解消していくことが望まれます。

疑問点や批判を打ち消すことに向けられていた行政の矛先を、疑問や批判を受け止め、住民と一緒なって根本から調査検討していく「協働」への姿勢に変えていくことが必要だと思います。