・核の悪循環で信州の電力を供給

フランスで製造したプルサーマル用のプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料を、九州、四国、中部の各電力会社が来年前半に海上輸送し、4−6月の間に日本に到着する計画を立てたことが報道されました。

MOXとは使用済み核燃料の再処理をフランスに委託、取り出したプルトニウムをウランと混ぜた燃料集合体。


原子力発電の廃棄物は、それ自体が現代の技術では安全に処理できずに、『埋めて隠す』ことしかできない。

分離したプルトニウムをウラン濃縮の過程で生じた劣化ウランと混ぜてMOX燃料を作ることから、最終的には非常に取り扱いにくい使用済みMOX燃料が生じる。

MOX燃料を作る過程から生じるゴミのような「MOX燃料スクラップ」という廃棄物も生まれる。そして、分離プルトニウムの1部を使わず、そのまま廃棄物として処理するのでこれも廃棄物に含まれる。

MOX燃料が引き起こす核廃棄物の負の連鎖で、さらに深刻な核汚染にさらされてしまう。

温暖化防止に原子力発電が役立っているとの国を挙げてのプロパガンダに、多くの日本国民が洗脳されて来ていることを思うと、事態はより危機的な状況になっていると思います。


janjanニュースに詳しく解説されているので、ご覧いただこう。

プルトニウムには「全く価値がない」、市場的には「マイナスの価値」−仏の核エネルギーコンサルタント、マイケル・シュナイダー氏語る(上)

核燃料再処理でつくるプルトニウムは、高速増殖炉で使う見通しが立っていない。再処理はフランスで大量の廃棄物を生み出している。廃棄物の一部は環境へ、放射能としてガスや液体の形で放出され、人々の健康を損ねている。フランスの核エネルギーコンサルタント、マイケル・シュナイダー氏が来日し、フランスの再処理の現状を批判しつつ、日本の政策に警鐘を鳴らした。

 高レベル廃棄物のガラス固化体づくり試験に失敗を繰り返す、六ヶ所再処理工場のアクティブ試験。高速増殖炉もんじゅ」も長期停止による機器の腐食で、再開は危険との声が高まってきた。危険なプルトニウムを軸にした核燃料サイクル政策の実用化に巨額の資金が投じられて久しい。

 原子力大国と言われるフランスも核燃料サイクル政策を進め、六ヶ所再処理工場にはフランスの技術が導入され日本のお手本となってきた。ところが、そのフランスで再処理して蓄えたプルトニウムを、驚くべきことに、今やフランスの電力公社は「全く価値のない物質」と見なしていると、フランスの核エネルギーコンサルタント、マイケル・シュナイダー氏は再処理問題に関する講演で語った(『ラ・アーグ再処理工場最新情報』11月11日東京・総評会館)。

シュナイダー氏によると、「日本政府が六ヶ所で建設している再処理工場は、稼働する結果としてそこから生まれる物質は、その価値が全くなく、むしろ市場的な価値としてはマイナスとなる物質を生産しようとしています。2兆円もの資金を投じ、マイナスの市場価値しかないものを生産しようとしていることは非常にユニークです」と語るとともに、「核燃料サイクルから放出される放射能は世界的な被曝に非常に大きな影響を及ぼすので、決して笑えるような状況ではない」と話し、世界的にも看過し得ない問題であることに真剣な考察を私たちに促した。

 フランスには現在58基の原子炉(軽水炉)が稼働しており、もう一つが高速増殖炉フェニックスである。フェニックスは研究炉として延命していたが来年停止する予定だ。フランスで最も古い原子炉で、高速増殖炉の技術はその合理性がないことが実証され、閉鎖されるべきとものと考えられた結果だ。「日本では『もんじゅ』が稼働を予定されており、この技術を今から使い始めようとしている人達がいることは非常に興味深い」とシュナイダーさんは言う。

核の連鎖、プルサーマルが大量の核廃棄物を生む

 軽水炉に、プルトニウムとウランを混ぜたMOX燃料を使う原子炉が、フランスでは22基稼働しているという。日本のプルサーマル用MOX燃料も、日本からフランスに運んだ使用済み核燃料を再処理したプルトニウムで、フランスで製造されている。

 フランスでは国策会社アレバNCという世界最大の核燃料企業が、ウラン採掘から核燃料サイクルのすべてを担っているが、実際にはきれいなサイクルとして循環しているわけではない。そこではMOX燃料のための再処理とプルサーマルによる核の連鎖によって、大量の廃棄物が生み出され、経済性や人々の健康の安全が損なわれている問題が起きている。

再処理の工程からは多様な核廃棄物が生じる

 さらに使用済み核燃料の再処理からは、ガラス固化体、構造材、再処理の3つの形で廃棄物が生まれる(下図の橙色の部分)。しかし本当はもっと複雑で、分離したプルトニウムをウラン濃縮の過程で生じた劣化ウランと混ぜてMOX燃料を作ることから、最終的には非常に取り扱いにくい使用済みMOX燃料が生じる。MOX燃料を作る過程から生じるゴミのような「MOX燃料スクラップ」という廃棄物も生まれる。そして、分離プルトニウムの1部を使わず、そのまま廃棄物として処理するのでこれも廃棄物に含まれる。

 さらに複雑なことは,使用済み燃料からは再処理ウランが回収され、転換されてもう1度濃縮ウランになり燃料が作られ、最終的に使用済みの再処理濃縮ウランが残る。回収ウランから再濃縮されたウラン燃料は非常に少量でフランスでは2つの原子炉でしか使われておらず、再処理ウランの大部分が廃棄物としてロシアへ送られている。再処理されたウランが濃縮される過程では、さらに劣化ウランが生じるなど、実に様々な廃棄物が生じるのである。

 こうした廃棄物に加え、それぞれの施設が操業することで生まれる廃棄物がある。放射能に汚染された服や交換された機器などで、工場や施設が操業することによって生まれる廃棄物が数多くあるのだ。そしてこの工程ごとの施設1つ1つが最終的には解体されなければならずここからも解体廃棄物が生まれる。

 巨大なラ・アーグ再処理工場は最終的には解体されなければならず、また大量の廃棄物が発生するのである。そして、「廃棄物の一部は環境へ、放射能としてガスや液体の形で放出されるものがある」シュナイダーさんは言う。

2008/11/29