・昭和病院の審議会は前途多難

昭和伊南総合病院昭和伊南総合病院の再建は前途多難だ。


同院を運営する伊南行政組合は25日夜、経営などに関して外部から点検、評価を受ける運営審議会を設置し、第1回の会合を同病院で開いた。

審議会の構成は、同組合を構成する伊南四市町村の議会や医師会、住民の各代表、識見者ら18人を委員に委嘱。

病院再生の専門知識を持たない素人集団に課せられた使命はあまりにも重い。(識見者にも再建の専門家は不在)


全国の自治体病院の多くは赤字に苦しめられている。

しかし、経営建て直しに優れた専門家を招いたところでは、危機を脱したところが少なくない。

鹿児島市や埼玉県で病院経営を立て直し、自治体病院の「再建請負人」とも呼ばれる武弘道氏もその一人。

 ※詳しくは→地域医療は今・自治体病院(5)黒字へ 一丸で意識改革 読売新聞

「その際の基礎資料にしたのは厚生労働省などを通じて個人的に収集してきた全国各地の自治体病院のデータだ。医業収支や医師、看護師の1日当たりの収益、医薬品購入費……。データは23年分、50病院に及ぶ。」

問題の解決に必要な情報と、それを分析し改善策を見出す知見。

これは、素人の審議会には無理な話です。

ならば、素人なりにできることは何か。

それは、予見を挟まずに現状をつぶさに観察し、外部の専門家の指導を仰ぎ、市民の福祉と市の財政のバランスを冷静に見つめることだと思います。


しかし、昭和伊南の審議会の様子が報道で伝えられたとおりだとすれば、まことに心もとない。

長野県が指導する救命救急センターの返上について、議員として審議会に参加する委員からクレームがついたという。

現状を把握する段階では予見を挟まずに情報を収集することが求められているというのに、自我をあらわにしては先がおぼつかない。


そもそも、なぜ議員が審議会に加わっているのか不思議でならない。

南行政組合の議会は、それぞれの自治体の議会で構成されている。

外部の審議会として位置づけるのに、議員を入れては意味が無い。

南行政組合の事務長が昭和伊南の事務長と兼務しているところからして間違っている。

管理する側とされる側の事務を同一人物が担っていることが、まともな状態ではないと誰でもわかる。


昭和病院の再建が難しいのは、経営状態が放漫だったことに加えて、管理する体制も放漫だったことが原因だからです。

新たな再建を目指す体制に、これまでの悪習が引き継がれていることから見ても、前途は多難だといわざるを得ないでしょう。

玉石混淆となった審議会の行方が心配です。