燃費(電費)を決める要因 2.車内機器の節電 1)ヒーターホースの熱漏えい

初期型リーフの車体は断熱性が低い。
それはエンジニアが、排熱が大量にあるガソリン車の感覚から脱しきれていないことが一因だと思われます。
EVの航続距離に暖房エネルギーは甚大な影響を及ぼすのだから、MC後のリーフでもまだまだ不十分です。

車体の断熱が不十分なのだから、ヒーターも同様です。
ヒーターホースは汎用品なので、貴重な電力を使って加熱した温水から熱が漏れてしまっている。

どのくらい漏れているのか試算しました。
正確に計算するのは大変なので、概略式を用いました。※1

外気温マイナス5℃、PTCヒーター水温が70℃の時、ヒーター装置から漏れている熱は約200Wになります。
もし、12mmの保温材で包むと漏れる熱を75Wに下げることができます。

保温不足で125Wのエネルギーを無駄にしていることをリーフを開発したエンジニアたちはどう考えたのだろうか。
たかが125Wの削減と軽く考えてしまったのか、そもそも熱漏えいを考慮せずに汎用部品を使っているのか。

暖房を使わずに走っているリーフの車内機器消費電力は7Wh/km程度です。
100kmを目安に充電するなら700Whが車内機器で消費されます。
この距離を3時間で走行する場合、ホースからの熱損失は375Whです。
車内機器消費電力の半分以上に相当するエネルギーを捨てていることになります。

ヒーターが作動してからリザーバータンクを触ると熱くなっているので、熱が漏れていることを実感できます。
ホースの断熱方法は、こちらを参考にしてください。


《注記》
リーフに搭載されている温水PTCヒーターは、作動すると常に一定の温度を保つ特性なので熱損失量も一定になると推測できます。


※1
Q=2・円周率・Δt/(1/(d0α1)+(1/λ1)・ln(d1/d0)+(1/λ2)・ln(d2/d1)+1/(d2α0))
ここに
Q:熱損失[W/m]
ln:自然対数
Δt:温度差(水温-外気温)
d0:管内径[m]、d1:管外径[m]、d2:保温外径[m]
α1:管内面の表面熱伝達率[W/(m2・℃)]
α0:保温材外面の表面熱伝達率[W/(m2・℃)]
λ1:配管の熱伝達率[W/(m・℃)]、λ2:保温材の熱伝達率[W/(m・℃)]