・新ごみ処理施設を美原区が拒否

上伊那広域連合が伊那市の伊那中央清掃センター隣接地に新ごみ処理施設を建設する計画案に対し、
地元の美原区で24日夜、区民説明会があった。
「他地区への施設移転を約束に、理解してきた」とする区民からは
隣接地案の突然の浮上に批判の声も多く、広域連合による説明会は序盤から激しい応酬となった。


同区は近く、今回の議事録を全戸に配布し区民に意向調査をして、年内にも可否の結論を出す方針。


非公開で開いた説明会は区役員と連合担当者によると、
「施設移転の約束」を含め隣接地案にかかるこれまでの動きや、
市内複数地区でも進めている用地選定経過についてのそれぞれ情報公開の有無、
有害物質による身体への影響をめぐり、説明前におよそ1時間半にわたって議論。
長時間に及んだため、予定していた新施設の説明は一部省略した。


新施設の建設計画にあたって広域連合側は
『区の合意が得られなければ強引に計画は進めない』との連合長の小坂樫男・伊那市長の旨を伝えた。
説明会には区民100人余が参加。区役員は、
「賛成というような姿勢はほとんど見受けられなかった。
 迷惑施設としてこれまで協力してきたからこそ、区民の拒否反応は強い」と話す。


出席した女性(63)は「施設建設にあたってメリットがあるというが、命の大切さは全くわかっていない。
 移転の約束があったのに、行政のずさんさにびっくりしている」と強く非難。
50代男性は「説明会以前の話。なぜ人家の密集する場所に建てたいのか。
 これまで協力してきたのに仇(あだ)となって返された」と不満をもらした。


隣接地案は、現施設周辺の6区・1常会役員らでつくる地元対策委員会で、
一部の委員からあがった地元での施設建設検討の提案を受け、
広域連合が8月の委員会で案を示して各区・常会での施設建設の検討を要請。
下川手区はすでに住民の了承を得ている。美原区の動向を見てからの検討を考える区もある。


住民からの、美原区が反対すれば新施設ができないのかと問いに、広域連合の斉藤秀夫事務局長は、
「イエスです。」
と、美原区の賛成無しには、新施設の建設がないことを明確にした。


さらに、住民側は「2007年度までに清掃センターを移転するするのが区との約束だ」と指摘。
斉藤局長は用地選定が難航している中、現センターの操業期間を延期しても
新施設は他区に移転するとの「約束」があったことも認めた。


新ごみ処理施設の建設は当初、設置区の下川手区の合意があれば十分としていたが、
市民運動の影響もあり情報を隠してきた広域連合のやり方に批判の声が高まってきました。
さらに、美原区との約束を反故にしようとしていた広域連合の対応に区民の拒否反応が強く、
この問題の行く末は、美原区キャスティングボートを握りることになりそうです。