・バイオ燃料の普及に難題

 植物を原料とする燃料を配合した「バイオガソリン」の試験販売が首都圏で始まりました。
地球温暖化防止策の一つとして期待の反面、課題も多い。

石油代替燃料

 バイオマスは、生物起源の資源の総称で、そこから得られるバイオ燃料のひとつがバイオエタノールです。

サトウキビやトウモロコシなどを発酵させ、蒸留して製造するが、植物は、生育するときに温室効果ガスの二酸化炭素を吸収するため、京都議定書では、燃やしてもガス排出量はゼロとみなされ、石油代替燃料として注目されています。

省庁間の対立

石油業界は、バイオエタノールを配合したバイオガソリンを販売する給油所を順次拡大し、2010年度には全国に拡大する計画があります。

 しかし、普及を阻害する要因の一つは主導権をめぐる省庁間の対立にあります。

混ぜる方法は二つで、石油業界は、バイオエタノールを石油製品と合成した加工品にしてからガソリンに混ぜる方法を採用した。
経済産業省も後押ししている。この方法だと、バイオエタノールの比率を上げるには限界があります。


一方、環境省は、この方法だけでは不十分として、バイオエタノールを直接混ぜ、比率も増やしやすい、もう一つの方法を採用しましたが、石油連盟が協力を拒否している。
今後、調整できるかどうかがポイントになる。


農林水産省は、国産バイオエタノール生産量アップに積極的で、環境対策と農業振興の両立も目指しています。
将来的には、休耕田、耕作放棄地での燃料用水稲栽培も検討しているものの、経産省は、農水省の生産目標や考え方に疑問を示し、温度差があります。

食料とエネルギーの対立

バイオ燃料で、人や動物を養う食物をエネルギーに転用することには抵抗感もある。
タイでは、水田をつぶして、バイオ燃料原料のアブラヤシなどを植える農家が増えたという。
農業が投機的になり、農村社会が崩壊することを心配する声も出ています。


バイオ燃料の普及を図る上で日本の課題は、原料の確保にあります。
当面は、ほとんど輸入に頼ることになるが、早急に自給率を高める必要があります。
身近な生物資源の見直しが緊急の課題として浮上してきそうです。