・世界初、福岡に水素タウン150戸

読売新聞九州発ルポタージュより福岡県は、水素を燃料とする家庭用燃料電池で、一般世帯の照明や給湯エネルギーを供給する「水素タウン」を、150戸整備すると発表しました。

対象世帯に燃料電池をリースし、3年間にわたり省エネ効果を測定する。


地球温暖化が深刻になる中、福岡県では二酸化炭素(CO2)を排出しない水素エネルギーの研究開発に力を入れているそうです。

県によると、水素タウンは新日本石油西部ガスエネルギーの協力を得て進める。

燃料電池はガスから水素を取り出し、電気と熱を生み出す仕組み。

平均的家庭で消費電力の約6割、給湯の約8割を賄えるため、約3割の省エネとCO2排出量の削減効果があるとされる。


設置費用は県が助成するため無料。リース料は月額5000円程度の見込みだが、それ以上の電気代が節減されるという。

麻生知事とともに会見した新日本石油の松村幾敏常務は「世界でも例がないプロジェクト。水素タウンができれば、その地域は京都議定書炭酸ガス削減目標も簡単に達成できる」と話した。 =2008/02/26付 西日本新聞夕刊より抜粋=

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「約3割の省エネとCO2排出量の削減効果」は本当かな?

エネルギー変換効率が向上して一次エネルギーの消費は削減できても、家庭で消費する二次エネルギーの量には変化がないはず。

純粋な「省エネ」ではないでしょう。


バイオエネルギーの需要が急増するとともに、穀物の価格が急騰しています。

トウモロコシをバイオエタノールの原料とするから、小麦などからの転作面積が増えたのも一因と言われています。

本当の原因は、地球温暖化による海水温の上昇で気候変動がおき、オーストラリアの大干ばつを引き起こしたとの最新の研究が報告されています。


人類が消費するエネルギーを削減することなく、エネルギー転換で急場をしのごうとすると、必ずそのしっぺ返しが起こります。

新エネルギーの利用だけでは地球温暖化が防止できないのは、バイオエネルギーの例を見ても明らかです。

原始林を切り開いてバイオエネルギー作物の栽培の動きが加速していることで、バイオエネルギーの利用がCO2の増加を促進しているとする研究もあります。


まずは、エネルギー消費量の削減でCO2の発生を抑制し、人類の社会維持のために必要なエネルギー源は新エネルギーに代替するのが本筋ではないかと思います。

水素タウンが地球温暖化防止に本当に役立つのかは、下記の参考記事を見ればさらに疑問に思います。

道路特定財源暫定税率維持の急先鋒である福岡県知事のやることですから、理屈に合わなくてもやってしまうんでしょうね。