・隠れた二酸化炭素が670万トン

オゾンホール wikipediaより日本の温暖化防止対策が窮地に追い込まれたことをご存知の方は少ないと思います。

国の見積もりでは、代替フロンの放散量は二酸化炭素換算で650万トンだったが、回収量と使用量の差が広がり調査した結果、見積もりの二倍以上の1320万トンが漏れ出していることが分かった。

どれだけの量かというと、280万台の車が年間1万キロ走った時に出す二酸化炭素の量にあたる膨大な見込み違いです。


朝日新聞に詳しく状況が報道されているので、詳細は参照されたい。(消されてしまう恐れもあるので全文引用しておきます)

     ◇                    ◇

代替フロン漏れ、想定の2倍 国、温室ガスの排出量修正
2009年3月21日3時5分

 空調機などの冷媒として使う代替フロンが見積もりより2倍多く大気中に漏れていることが、経済産業省の調査でわかった。漏れは、家庭用エアコンで3倍、業務用冷凍空調機器で5倍もあった。代替フロン温室効果が大きいため、京都議定書の基準年である90年度と比べた日本の温室効果ガスの総排出量は、07年度では0.5ポイント上方修正され、9.2%増になる。6%削減が日本の目標だが、達成は一層厳しくなった。

 これを受けて政府は4月、修正値を過去にさかのぼって国連気候変動枠組み条約事務局に報告する。これほど大きな修正は前例がないという。これまで代替フロンは、計画以上に削減が進む「優等生」と期待されていた。

 政府は温室効果ガスの排出量を計算するに当たり、日本冷凍空調工業会が示した想定値をそのまま使っていた。しかし、空調機などに使われた代替フロンの量と回収量から判断して、温室効果に影響する漏れの量が少なく見積もられていないか、と疑問の声が出ていた。経産省と工業会が昨年、各種機器について26万件のサンプル調査を実施して実態が判明した。

 見積もりが誤っていた原因として、(1)通常の使用時に機器から自然に漏れ出す量を少なく見積もった(2)機器の故障・修理の際に放出される量を十分考慮しなかった(3)適切な回収作業が行われなかった――などが考えられるという。

 代替フロン二酸化炭素に換算した排出量は07年度で、650万トンが1320万トンに修正される。

 今回上乗せされた温室効果ガスは、ガソリン1リットルで10キロ走る車280万台が年間1万キロ走った時に出す二酸化炭素の量にあたる。

 政府は、代替フロン温室効果はきめ細かい管理や回収の徹底で防げるとの方針をとってきた。経産省地球温暖化防止対策小委員会のメンバーで、産業技術総合研究所中西準子研究部門長は「代替フロンの漏洩(ろうえい)率がこれほど実態とかけ離れていたのは驚きだ。検証せずに業界のデータをそのまま使ったのが原因。回収で管理できるという国の政策を見直し、温室効果のない新たな冷媒の開発が迫られる」と話している。(編集委員・竹内敬二、坪谷英紀)

代替フロン

 フロンに代わり、オゾン層を破壊しない冷媒として90年代から使われ始めた。その一つで、最も一般的なハイドロフルオロカーボン(HFC)類は家庭用や車のエアコン、業務用の冷凍機器などに使われ、使用済み機器からの回収が義務づけられている。HFC類は二酸化炭素のおおむね1千倍を超える温室効果があり、少量でも影響が大きい。京都議定書で規制の対象になっている。

関連図書