・駒ヶ根病院で死亡事故

駒ヶ根病院の建設現場で死亡事故が発生した。

ずさんな工事管理が噂される会社だけに、事故がいつ起きてもおかしくないと思っていた。

犠牲になった作業員は、元請けの社員でないことは確実だ。

良くて下請け、孫請け、ひ孫請けの会社から派遣されて来ていたのではないかと思う。

しっかりした捜査と、厳しい処分が望まれます。


数年前にある会社の社長さんから、自社の施設建設現場でおかしな工事をしているので見てくれないかと相談を受けた。

設備工事が特に不安だという。

昔取った杵柄で国家資格はあるのだが、現場に首を突っ込みたくなかったのでやんわりとお断りしたのだが、どうにも困っているということで現場へ赴いた。


誹謗中傷とならないように現場の状況をお伝えしよう。

屋外炊事場の設備を工事している現場で、排水管を施工しているところだった。

出来上がったばかりの排水だが、スムーズに排水されない。

現場の工事担当者に問い詰めたところ、給水管径25Aに排水管も25Aを使ったというのだ。

素人でもおかしいことは分かると思うが、水圧がかかった水道管と重力でゆるやかに流す排水管が同じ直径でいい訳がない。

理由は、「排水管の納まりがきついから」

延々と埋め込まれた25Aの排水管を掘り返して、75Aだったか100Aだったかにやり直させた。


すぐに担当者を呼び付けて、件の社長とともに説明を求めた。

どうやら施工図がないようだ。

簡単な設計図もどきで、あとは現場の判断でそれなりに工事させていた。

悪びれる様子もなく「この程度の工事はこんなもんですよ」とは、その担当者の弁。


同じ現場の別の設備では、給水タンクの安全基準が無視されていた。

上水設備の安全基準があることすら知らないようだ。

タンクから水が出ればいいだろう、この程度の認識だった。


現場にいたのは孫請けの作業員。

配管を切ったり繋いだりはできるが、衛生設備の工事を管理できる資格者ではない。

法令や安全基準に疎い単なる配管工に現場で作業させる時には、しっかりとした施工図を渡すのは当たり前の基本で、これ無くしてどうしてまともな設備を作ることができるのだろう。

頼まれてちょっと現場を覗いただけで、とんでもない工事現場に遭遇してしまった。


今は、こちらサイドの仕事はしていないので、この辺の工事屋の技術レベルには疎い。

そこで、昔のコネで日立ポンプの営業マンを呼んで実態をうかがった。

全国の工事屋を飛び回っているベテランだから、全国水準で判断してもらえる。


「この辺の設備屋では、Aランクの会社はないですよ。飯田にBランクがあって、伊那の○○がDランクぐらいですかね。駒ヶ根の○○○○はランク外です」

もちろんオフレコを条件に聞いたのだが、駒ヶ根に本社がある「地元の大企業」が全国水準からみるとランク外とは驚きだ。

さらに、「○○さん(わたしのこと)がいらっしゃった△△工業のレベルでこの辺の会社を見たらだめですよ。あちらでは当たり前のことがここでは特別なんですから」

当然のことだが、国家プロジェクトを常に受注している会社とランク外の名ばかりの一部上場を比べるなと言われた。


言われてみればその通りかもしれないが、そのランク外に仕事を頼んでいる駒ヶ根の市民や企業は大きな損害を被っているのではないかと思った。

でも、地元では大きな力をもっているから面と向かって非難するようなことはできない。

その後も、雨漏りするアパート、水が溜まらない池などのランク外による工事の被害をあちこちで耳にしたが、人命にかかわるようなことではないので、ほとんどのケースでは泣き寝入りしていたようだ。


しかし、今回は尊い人命が失われた。

下請けか孫請けの作業員が犠牲になった。

現場の安全管理に手抜きはなかったのだろうか、安全管理者は現場にいたのだろうか、工事手順は適正だったのだろうか。

駒ケ根署と労働基準監督署による厳しい取り調べが不可欠だ。