・クレーン事故でつじつまが合わない

県立駒ヶ根病院の建設現場で発生した死亡事故は、安全基準を無視した危険な工事が原因である可能性が高まってきました。

報道によると、クレーンは建築中の建物の2階から1.5トンの荷を吊り上げようと試み、1m上がったところでバランスを崩したようだ。

ワイヤーの長さは15m、クレーンの長さは57mとすでに報道されているので、建物の高さを6mと仮定すると、アームの角度は20度で水平距離は54mになる。

担当者の説明によると、クレーン車体から荷までの水平距離は34mだったからつじつまが合わない。


ところが逆に検証するとつじつまが合う。

クレーン車体から34mに荷があったことにして計算すると、クレーンの角度は54度になり、ギリギリの安全圏内にとどまる。

説明は、安全基準を満たしていたことにするための虚偽であった可能性が浮上する。

なぜ虚偽かというと、54度までクレーンを上げた場合には、二階屋上からクレーン先端までの距離は43mになり、作業員の証言通り1m浮上したとしてもワイヤの長さは42m必要だ。

実際の長さは15mだから大きな違いがあって、説明が困難だと思われる。


22日に会社側はクレーンのアームが当時伸びていた長さを「約20メートル」と説明していた。

実際は57mだった。

風速12メートル以下での作業を基準に、現場事務所でも確認していたというが現場周辺の住民は「突風が吹いていた」と証言している。

近在の風速計も18mもの強風を記録している。

事実と異なる説明があちこちでほころびを見せてきた。


また、事故直後に事実の隠ぺい工作があったと指摘されている。

webサイトが事故の3時間後に書き換えられたというのだ。

事故が発生した現場のブログが抹消された。

建設ニュースWatch. 病院建替工事でクレーン倒れ1人死亡、3人重軽傷 /長野・駒ケ根市


2010年1月18日に駒ヶ根病院改築の様子をレポートするブログ掲載を告知する旨の書き込みが加えられた。

トピックスにも「工事の現場レポートがブログにてご覧いただけます」と記述されていた。

これが、事故の発生を受けて消されてた。

まともな企業のwebサイトなら、掲載記事を廃止した場合も更新記録として残す。

後ろめたいところがあったということなのだろう。


事故で死亡した方のすぐ近くにいた作業員の証言が信毎に書かれていた。

クレーンが吊り上げた部材が1mほど上がった直後に落下し、『降ろす、降ろす』、クレーンを操作する人の声が無線で聞こえたという。

その直後、轟音とともにクレーンがすぐ近く(5m)に倒れてきた。


県警捜査1課と労働基準監督署による現場検証が続いているようだから、事実は解明されるだろう。

クレーンの安全装置のスイッチが切ってあった疑いもある。

最大400kgの吊り上げ荷重なのに1.5トンを運ぼうとした無謀、風速を計測せずに突風の中で作業を強行した危険行為などの悪質な工事の実態が明らかになるはずだ。

2/26更新

現場の作業員に頭上でクレーン作業することを伝えていなかったことが明らかになった。

労働安全衛生規則は、現場でどんな作業をしているか各作業員に知らせなければならないと定めている。

安全管理のずさんな状況を示す貴重な証言だ。

http://www.shinmai.co.jp/news/20100226/KT100225FTI090025000022.htm

2/27更新

関係者が「ストッパー(安全装置)を切ってあった」と話していたとの証言が得られている。
現場では制限荷重以上に吊り上げるために暗黙の了解で安全装置が切られていたことが確実になった。
http://www.shinmai.co.jp/news/20100227/KT100226FTI090018000022.htm