・できないのかやらないのか

本日の長野日報駒ヶ根の将来を考える上で重要な記事が記載されています。


2010年度までに東中学校を移転することを断念したというものです。
市長の言う「合併が白紙となり(単独での建設は)財政的に厳しい。」の示す意味は重要です。
駒ヶ根市の中長期計画は合併を前提に構築されていると言っているに他ならないからです。
また、教育よりも土木事業を優先する姿勢が明確になりました。


駒ヶ根市議会の昔の議会録を調べていたところ、注目すべき市長答弁がありました。

平成11年12月 定例会(第7回)-12月13日
学校の規模縮小傾向は竜東地域の過疎化につながる心配がございます。地域発展の一つの方策として東中学校の活性化に取り組んでいかなければならないと考えております。(中略)
竜東人口増加策として、東中学校、東伊那小学校、東伊那保育園、あるいはまた中沢保育園、中沢小学校を含めて過小規模解消にどう取り組んでいくかということが総体的に重要になってくると考えており、竜東地域の発展のために最も重要な施策内容と受け止めているところでございます。近年竜東と竜西の時間距離が交通網の整備促進によって図られてまいりました。(中略)
このすばらしい自然環境や歴史的、文化的なものを生かす形での地域の発展、加えて企業誘致、住宅団地の造成等を積極的に進めて、バランスのとれた地域発展を目指していかなければならない、かように考えているところでございます。

6年前の答弁ですが、この時点で東中学校の過小規模化への対処法として竜東地区の過疎化防止を実施する考えを述べています。
さらに、過疎化防止のためには現在の東中学校の活性化が必要との認識も示しています。


しかし、市長はこの後に方針を大転換して東中学校を移転することを前提に検討委員会を設置しました。
さらに、竜東地区、ことに中沢地区においては住宅団地の造成などの地域発展策は実施されませんでした。
人口増加策をやらなければ竜東の人口は減少しますから、東中学校の在校生も年々減少が続きます。
そこでこのデーターを基に、東中学校は過小規模化しているので、移転が必要だと言い始めたのです。


この問題は市町村合併と密接に関わっています。
市町村合併で資金の目処がついたために、中学校の移転新築の実現性が出てきました。
そのために、本来必要となる人口増加のための施策を怠り、既成事実としての過小規模化を促進したとも考えられます。


これが意図的にやられたとすれば、重大な市民への背信行為です。
たとえ意図的でなかったとしても、行政の不作為が原因で市民生活が犠牲にされてしまう重大な失政です。


中央アルプス市」という珍名のおかげで、タナボタ式に中学校の移転は当面避けられる見通しとなりました。
しかし、ここに至る経緯を見ると現市政の重大な欠陥が見て取れます。
市民はこのことをよくお考えください。