・どこにでもある危険な建物

長野日報へのリンク 『伊那・駒ケ根でもホテル営業休止 「姉歯」関与 』


姉歯建築事務所の偽装設計の被害が全国に広がって駒ヶ根にも波及していきました。
駒ヶ根では唯一のまともなシティホテルだと思われていた「駒ケ根プレモントホテル」が危険性があるとのことで営業中止になりました。
話題の木村建設の施工ですから危険性はかなり高いと思われます。


建築確認は県が行っていましたが、県には確認するための構造計算プログラムがないのでほとんど素通りだったようです。
ホテルなので庶民に直接被害がないことがせめてもの救いですね。
(間接的には倒壊の恐れなどありますが・・・)
「安かろう悪かろう」は世間の常識ですから、建て主は自業自得と諦めてもらうしかないようです。


テレビの報道では関係者が「偽装は見抜けなかった」と言っていますが、
建築に知識のある人から見れば無責任な言い逃れにしか聞こえません。
建築物のチェックには細かな数字を見るよりも前に全体のバランスを見るポイントがあり、
これを試算することで設計の良し悪しを概略判断できるからです。
巧妙な場合は別としても今回ほどあからさまなものはそれなりに見れば判るはずです。


計算を偽装した姉葉設計士はトカゲのしっぽ程度であって、

建て主(無理なコスト削減の要求)
      ↓
建設会社(コストに見合った質の低い建物の計画・施工)
      ↓
設計事務所(安全を無視した設計を余儀なくされるが検査機関で露見することを期待)
      ↓
検査機関(責任を持ってチェックするポイントを絞り込んで残りは放置)

いわゆる格安物件ではこういう図式が当たり前です。
それぞれの段階でモラルが守られていることが唯一の歯止めなんです。


姉歯設計士だけが偽装設計をしているわけではないので、
今後芋づる式に途方もない数の危険な建物が露見するかもしれません。
格安物件を手に入れられた方はチェックしたほうが良いでしょうね。


適正な価格で購入された物件の場合はそれほど危惧する必要もないと思いますが、
不安な場合は管理組合を通じて構造計算のチェックを依頼してはどうでしょうか。
10万円くらいで一通りの検査ができるらしいですよ。