・エイズ予算削減に厚労省が懸念

世界エイズ会議

 村井仁知事が県内のHIV感染者・エイズ患者が
「特別な仕事に従事している人たちの間で非常に感染度が高いというように承知している」
などと発言した問題は、予算削減の形で残ったままとなっている。


 こうした知事の“不勉強”を反映し、19年度予算案に計上したエイズ対策経費は、
前年度に比べて22%の大幅減。人口あたりの感染者・患者数が全国で2番目に多かったことから、
県は「(国と)重点的に連絡調整すべき都道府県」に選定されているが、
予算の大幅減に厚生労働省は「それで本当に感染拡大を防げるのか」と憂慮を示している。


 県内のHIV感染者・エイズ患者の届け出数は、平成14年から3年間の平均で
人口10万人あたり1.26。東京都に次いで2番目に多い。
しかも東京都では検査などで発症前に感染が判明した事例が届け出数全体の7割を超えているのに対し、
反対に長野県では発症してから初めて感染が判明する事例が6割に達している。
県内の状況は潜在的な感染者数を考えると危機的な状況といえ、県内の医療関係者からも警鐘を鳴らす声が相次ぐ。


 18年度当初予算案のエイズ対策費は約802万円だったが、こうした現状に加え、
昨年2月に厚労省から「重点的に連絡調整すべき都道府県」に選定されたことから、
田中康夫前知事は6月補正で大幅に予算を上乗せ。計約1269万円とし、
保健所や拠点病院で迅速検査を導入するなどの対策を講じた。


 しかし、県議会で審議中の県の19年度一般会計当初予算案は、
予算規模全体では2.6%増と6年ぶりに増加したにもかかわらず、
エイズ対策予算は約995万円が盛り込まれているのに過ぎない。


 担当の県健康づくり支援課では「迅速検査キットなどの購入がある程度進んだ」として、
予算の編成段階では9.3%減の約1180万円を要求した。
しかし、査定の段階でさらに大きく減額されたという。


 重点都道府県に指定されたことで、県は厚労省と連絡調整を図りながら、エイズ対策に取り組むよう求められている。
同省疾病対策課は、

予算の具体的な中身を聞いてみる必要がある。額が少なくなっても対策の質が向上しているのなら、それはそれで構わないが、(長野県の現状は)予算を減らせる状態ではないのではないか。
せめて前年度と同水準であってしかるべき。それでHIV感染の拡大が抑えられるのか。行政として本当にそれでいいのか、聞いてみたい

と懸念を示している。


※一部に産経新聞(2007/02/23)を引用